2008年10月アーカイブ

                  2008年3月25日

杉並・生活者ネットワーク 子ども部会

<教育基本条例の制定について>

 昨年、懇談会の提言が出されましたが、「『子どもにとって最善の利益が保障される』教育」という視点が見られません。「一人ひとりの子どもの人権が守られ、自らの意見にもとづいて、教育が受けられ、持てる能力をできる限り生かすことができ、学ぶことが真の喜びとなるように、地域の中で重要な一員として尊重される」というように、子どもの人権について言及することは不可欠だと思います。

 

<計画事業数について>

 現在の推進計画事業数59から36事業に減らすとされましたが、なぜそうするのか、どの事業の実績・成果を検証しての整理・統合なのかが明らかにされていません。明記をお願いします。

 

30人程度学級の実施について>

 少人数学級の実施は、ことに低学年では必要なことです。ぜひ実現させていただきたいと思います。ただし、新任教師の担任への登用は、教員本人もでしょうが保護者にとっても不安があり、それが子どもに与える影響は小さくないと考えます。実効性ある支援をお願いします。

 

<特別支援教育について>

 重点事業として充実を図られることに期待します。特別支援教育の現状は、各学校での校内委員会の実施内容に差があり、現場に情報が十分伝わっていなかったり、正確に把握されていなかったりという状況が見受けられます。校内委員会は、各学校における特別支援教育の実施にあたり、重要な役割を担うものです。介助員、介助員ボランティアの定数を増やすこと自体は評価いたしますが、実際にうまく活用されなければ意味がありません。校内委員会が本来の機能を果たせるよう、学校への支援と対策をお願いいたします。

 

<師範館について>

 学習支援教員を配置されることは評価するものですが、10人では十分とは言えず、また低学年にも学習支援は必要です。通常学級において発達障がい児への指導がゆきとどかないケースが生じています。単に人手が足りないというより、障がい児教育について専門的に学んだ先生が学校現場にはもっと必要です。区独自の教員養成機関、「師範館」を、障がい児のための教育法を集中的に学ぶ機関として機能させ、障がい児教育の専門教師を多く輩出させていただきたいと要望します。

 

<食育・健康教育について>

 メタボリックシンドロームの予防はけっこうですが、子どもの腹囲測定をいっせいに実施しようというのは異様な感じがします。からかいやいじめの原因をつくることのないよう配慮が必要です。

なお区がめざしている食育とは健康教育と栄養教育のことであるかのようですが、それだけでは不十分です。持続可能な社会における食のあり方を問い直すための、環境教育の視点がぜひとも必要です。国内自給率の低い日本の食事情を知り、世界の食糧情勢に目を向けて個人個人の意識を高めていくことを食育には求めたいと思います。

 

<中学生レスキュー隊について>

 子どもの防災意識を育てることは大切ですが、中学生レスキュー隊のように、全校で組織編成し地域貢献を期待することは、この年代の子どもへの教育的配慮に欠けるのではないか、と思わずにいられません。たとえば災害が起きたときに現場にレスキュー隊を送り込み、悲惨な場面を目の当たりにして人命救助にたずさわることは、中学生にとって重すぎる負担になるのではと危惧するところです。生死を左右するような現場での対応を子どもたちに担わせた結果、取り返しのつかないことが起こった場合は、子どもたちに決定的な精神的ダメージを与えることになるうえ、子どもたち自身の命に係る危険すらあります。災害の初期段階では、子どもたちにはまず自分の身を守ることを教えるべきであり、責任能力や権限を持たない子どもたちがかかわれる部分は自ずと限られるはずです。

あえてこのような組織をつくらなくても、中学生の防災意識と地域貢献の意識向上を図ることは可能ですし、初期段階を経過した後の震災救援所の活動補助などが適当では、と考えます。

 

<就学前教育について>

 漢字教育プログラム、「子育て読本」などを行政が用意する必要があるでしょうか。親を不安にさせるだけのものにならないか、危惧します。就学前は“子どもはたくさん遊ぶ”こと、それ以外は何もしなくていい、という「就学前教育」があってしかるべきです。幼児期に十分遊ぶことは就学後に役立ちます。早期教育は幼児期の育ちをしっかり保障してからするべきです。

 

<副校長二人制について>

 二人目の副校長任用によって、現場教員が指導に専念できる体制ができたのかどうか、検証をお願いします。忙しすぎる先生のストレスを減らし子どもに向き合う余裕が生まれたのかどうかを検証し、対策を講じてくださるよう求めます。

 

<スクールソーシャルワーカーの配置について>

 杉並区でようやくスクールソーシャルワーカーが配置されることを歓迎します。児童・生徒への対応だけでなく、不登校やいじめなどの諸問題に直面している教師たちの問題解決のためにも、十分に力を発揮していただきたいと思います。

 

<民間人校長の登用について>

いまの和田中の状況を見ますと、夜間塾の実施、PTAの解体など、その突出した学校経営のあり方には違和感をおぼえます。校長はすでに区の校長会から離れていると聞きますし、PTAも区の協議会から離れ、「志立」をめざして勝手に一人歩きをしています。PTA組織改変は「リストラ」だそうですが、公教育に市場原理をとり入れることが「民間人校長の登用」であり「教育改革」だとするなら、大いに疑問があります。

 

<学校支援本部について>

 区内の学校それぞれに、すでに地域の中から支援しようという機運が生まれ、実際に活動が始まっているとき、教育委員会が「予算をつけるから全校に支援本部をつくれ」というのは、地域の主体性に水を差すことになる場合もあると思います。また逆に、地域人材の発掘・育成が困難な学校にとっては、支援本部の体制づくりが負担になるのではないでしょうか。支援本部の設置を義務でなく権利とすべきです。

学校を地域全体で見守り、必要なら手を貸していく、ということ自体は望まれることです。ただ、今気がかりなのは、現役の保護者ではなく、保護者OBやリタイア世代にその照準が向けられていることです。現在子どもを学校に通わせている親たちが学校とどのようにかかわっていくことができるか、かかわるべきか、ということが抜け落ちているように見えることです。PTA解体の危うさもここにあるように思えます。

もし学校支援本部が学校機能の一部アウトソーシングであるなら、事業の継続性を保証するためにも、事務局人件費等しっかりした予算措置が必要です。善意だけに期待する運営は、責任を担う人には大きな負担ですし、何より事業としてあまりにも不安定です。事務局人件費や学習支援サポーターの交通費まで含めた予算が50万円だとしたら、非現実的であると考えます。

 

<地域運営学校について>

 今後3年間、毎年3校ずつ増やしていくようですが、現在実施中の6校での評価はどうなのでしょうか。学校側から自発的に地域運営学校への移行希望が出てくるのであればよいと思いますが、押し付けられての実施であるなら疑問です。なお、和田中のように運営協議会会長を学校長が担うのは、組織の役割からして不適切と考えます。指導をお願いいたします。

 

<エコスクール化について>

 ハード面の施設づくりだけでなく、環境教育、環境配慮行動のソフト面をふくめて3本柱としてすすめることが重要です。施設が完成した後の環境教育が効果的に行われるために、そのプログラムを作り専門家を学校につなぐ役割を果たすコーディネーターが各校に配置されるよう求めます。また環境配慮行動へのインセンティブとして、光熱費を節減できた場合、その半額を学校に還元するプログラム「フィフティ・フィフティ」への参加を再スタートさせ、参加校を増やしていくことを求めます。

 

<学校図書館の整備について>

 ITシステムを導入・推進とありますが、学校図書館にいま一番必要なのは、専任の図書館司書です。子どもの本選びを助け、学年に応じた調べ学習をサポートする図書館司書の全校設置を進めるべきです。

<全体をとおして>

 子どもの教育についていえば、基本的に子どもは、大人が必要以上にあれこれ手をかけなくても自ら育つ力を持っています。その観点からこの計画を見ると、事業数を減らしたとはいえ、これほど盛りだくさんのメニューがほんとうに必要なのか、という印象がぬぐえません。学校現場に裁量権を委ね、行政はおおらかに公教育をすすめていただきたいと思います。

 

以上

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