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第4定例会一般質問と答弁 2017.11.17そね文子

<インクルーシブ教育を推進するために>

【Q1】 区のインクルーシブ教育に対する考えとともに、どのように取り組んでいくのかについて伺う。

【A1:教育次長】 障害のある子どもたちが、一人ひとりの個性を最大限に発揮し、自立した生活と社会参加ができるように必要な力を育んでいくとの視点に立った教育は、障害のある子どものみならず、全ての子どもにとってわかりやすく有意義な教育につながる。

このように、障害の有無にかかわらず、誰もが相互に人格と個性を尊重し、支えあい、学び合うインクルーシブ教育の推進は、社会全体の重要なテーマであると考える。こうした認識の下、教育委員会では、特別支援教育推進計画に基づき、一人ひとりの教育的ニーズに応じた質の高い教育、就学前からの切れ目のない支援、そして、地域社会とのかかわりという3つの視点からなる種々の取組を総合的に進めている。

【Q2】特別な支援が必要な子どもの就学先を決めるに当たっては、学校と保護者に加え、専門家を交えた話し合いを行う必要があると考えるが、見解を伺う。

【A2:教育次長】 特別な支援が必要な子どもの就学先については、学校職員のほか、医師や心理士、都立特別支援学校職員など、それぞれ専門性を有するメンバーによる教育支援委員会において、子どもの状況や障害特性、保護者の意向等を踏まえた議論を重ね、適切な就学先を決定している。こうした場に、直接の利害関係者である保護者が参画することは適当ではないため、今後とも事前の相談等を通して、保護者の意見・要望を丁寧に伺い、教育支援委員会につなげていく。

【Q3】通常学級に在籍する知的障害児童に対して、教育や心理を学ぶ大学生ボランティアが支援を行っている他区の事例があるが、本区ではいかがか。

【A3:教育次長】 本区においても、主として教員を志す大学生による学生ボランティアが、済美養護学校や特別支援学級における授業補助や学校行事のサポート等を行っている。

2016年度は、14人の学生ボランティアがこれらの活動をしており、今後もこうした取組を拡げてまいりたい。

【Q4】児童の就学先に関する教育委員会の判断が、保護者の意向と異なる場合において、当該児童と同じような状況の児童に対する支援を適切に行っている事例を他の学校とも共有し、広げてもらいたいが、見解を伺う。

【A4:教育次長】 特別な支援が必要な子どもの就学については、保護者の意向等により、教育支援委員会の決定と異なる就学先となる事例もある。

そうした中で、大切なことは、ご指摘のとおり、その子どもが実際の就学先で受けている適切な支援の内容やそのための体制、支援を実施する際の配慮や工夫などを蓄積・共有して次の同様の事例に生かすことと考える。

こうした事例の共有等は、特別支援教育研修や教育支援チームによる各学校の研修等の際に実施しているが、今後、より一層、意を用いてまいりたい。

【Q5】〇家庭、学校及び障害児通所支援事業所や放課後等デイサービス事業所等の支援機関との連携を充実させるために、支援が必要な児童の課題等を話し合う仕組みは、もっと周知され、活用されるべきと考えるが、見解を伺う。

〇障害児通所支援事業所等には、作業療法士や言語療法士など様々な専門家がいるが、学校はこうした外部の専門家の意見を受け止める姿勢を持つべきと考えるが、見解を伺う。

【A5:教育次長】 ご指摘のとおり、特別な支援が必要な子どもに、より適切かつ効果的な教育的支援を行うためには、様々な情報を収集・共有して、多面的・多角的な見地から分析・検討・実施し、さらに振り返りをして次につなげるといった姿勢が欠かせないものと考える。

改めて、各学校にそうした姿勢で、家庭及び支援機関との連携を図るよう、働きかけてまいりたい。

【Q6】〇知的障害特別支援学級にも通学区域を設けているが、在籍する子どもの障害特性などを踏まえた保護者の希望に応じて、指定校以外の通学にも柔軟に対応することが必要と考えるが、見解を伺う。

〇また、学校に不適応となった子どもが、状況によっては転校できる措置をとることも必要であると考えるが、見解を伺う。

【A6:教育次長】 特別支援学級においても、定められた通学区域内の学校に就学することが原則ではあるが、これまでも、個別の事情等に応じて、通学区域外の特別支援学級がある学校に就学することとした事例はある。今後とも個別具体的に判断していく。
また、転校についても、同様に子どもの状況や保護者の意向等を総合的に考慮して適切に判断していくべきものと考える。

【Q7】特別支援学校の子どもと、通常学校に子どもとの交流について、現在の取組状況を伺う。また、交流の状況について、学校同士が意見交換や情報共有を行い、区内全体で交流の質を高めてほしいと考えるが、見解を伺う。

【A7:教育次長】2016年度の実績では、特別支援学級を設置している全校を含む小学校12校、中学校8校が、特別支援学級と通常の学級との交流を実施している。具体的には、年間を通した異学年活動、各教科の授業やクラブ活動等における交流活動のほか、オリンピック・パラリンピック競技種目の体験活動といった共同学習が行われている。

こうした取組事例については、昨年度に策定した「すぎなみ9年カリキュラム 総合的な学び編」にも掲載し、各学校と共有を図っており、今後とも、特別支援学級と通常の学級の交流活動が活発化するよう、働きかけてまいりたい。

【Q8】〇映画「みんなの学校」の舞台となった大阪の小学校が実践するフルインクルージョンについて、教育委員会及び学校はどのように捉えているか伺う。

〇全校の校長が、「みんなの学校」を観て、全員でいかに学校をより一層地域に開いていくか話し合うなどの取組を進めてほしいと考えるが、見解を伺う。

〇保護者や地域の人が、いつ行ってもいい学校であってほしいと考えるが、教育委員会の見解を伺う。

【A8:教育長】 お話にあった「みんなの学校」の舞台となった小学校では、特別支援学級という枠組みを取り払い、障害がある子どもも無い子どもも皆で一緒に学校生活を送るという、いわゆるフルインクルージョンの形態で運営されている。

こうした学校運営は、校長の経営力や教員の指導力はもちろんのこと、学校の規模や地域の理解と支援など、一定の条件が整わなければ実現できないことであり、これを直ちに一般化して、全国的に行うことは容易ではないと考える。本区もまた同様だが、今後とも、特別支援教育を含めた教育の在り方に関する社会的な合意形成を図る中で、こうした学校づくりを進める努力をしてまいりたい。

そうした中、区立学校のPTAの皆様を中心に、「みんなの学校」を鑑賞したり、舞台となった小学校の初代校長の講演会を催すなどの取組が拡がってきていることは素晴らしいことと考える。皆で感じる、皆で考える、皆で話し合う。今後の教育はどうあるべきか、そのために何をなすべきかといった議論の潮流が確かなものとなっている実感がある。

本区がこれまで進めてきた学校支援本部の全校設置や地域運営学校の指定を柱とする開かれた学校づくりも同様に、長年にわたる議論や取組の積み重ねの上に今がある。これまで以上に「開かれた学校づくり」に向けて、また、特別支援教育を含む杉並の教育のあり方についても、教育委員会と学校が、保護者や学校関係者、地域の方々と共につくり上げていくべきものと考える。そのための取組を、今後とも着実に進めてまいりたい。

 


<マイクロプラスチックの海洋汚染への対策について>

【Q1】〇マイクロプラスチックによる海洋汚染について、国等が解決に向けて取り組んでいるが、区はこの問題をどのように認識しているか。

〇区のレジ袋削減に対する取組みは、マイクロプラスチックを増やさないことにもつながると考えるが、見解を伺う。

【A1:区長】 レジ袋やペットボトルなどが、紫外線や海岸の波によって微細に砕かれることで生じるマイクロプラスチックは、化学物質を含有・吸着しやすい性質があり、食物連鎖に取り込まれることから、生態系に及ぼす影響が懸念されている。

議員がご指摘の世界経済フォーラム年次総会、通常ダボス会議において発表された「海洋ごみに関する報告書」では、海に流出するプラスチック由来のごみが世界的に急増していることから、プラスチックのリサイクルを促進し、自然界への流出を防ぐ対策が急務であるとの報告があったと認識している。

昨年のG7伊勢志摩サミットにおける首脳宣言においても、3R(リデュース、リユース、リサイクル)等の取組が、陸を発生源とする海洋ごみ、特にプラスチックの発生抑制と削減に寄与するものとし、海洋ごみに対処していくことが再確認された。

海洋ごみは、日本の海岸にも多く漂着しており、環境省では、こうしたごみや海底ごみに含まれているマイクロプラスチックについても実態調査を進めている。

また、生態系への影響等リスク評価は、現在、国内外において調査研究中とのことだが、マイクロプラスチックを含む海洋ごみについては、予防原則に基づき発生抑制対策を行うことが何より重要なことと考える。

今後も区においては、プラスチック製品であるレジ袋の削減やごみの分別、リサイクル等、身近でできる取組を実施し、持続可能な社会の形成に向けて、環境保全対策を着実に推進してまいりたい。

【Q2】練馬区では大学教授による「プラスチック汚染」をテーマにした講演会が開かれているが、杉並区においてもこのような講演会を開催してはいかがか。

【A2:環境部長】  環境先進都市の実現を目指し、区民一人ひとりの環境配慮行動の推進を目的として設置した環境活動推進センターでは、環境やリサイクルの推進等に関する講座・講演会を開催している。

「プラスチック汚染」については、国が大学と連携して調査研究を行っているところであり、それらの動向も確認しつつ、環境保全や循環型社会の構築等をテーマとした講演会を企画する際の参考にさせていただきたい。

【Q3】 2012年に廃止されたレジ袋削減推進協議会は、レジ袋削減運動に大きな成果を上げてきたと考えるが、区はどのように評価しているか。

【A3:環境部長】  当該協議会は2002年に設立され、区民、事業者、区がともに、レジ袋の削減及びマイバッグ持参率の向上に取組んできた。2004年には、協議会からレジ袋有料化を求める要望書が提出されたことを受け、区はレジ袋有料化モデル検討会を設置し、実証実験を行った結果、有料化はレジ袋の使用を抑制する有効な手段であると判断し、「杉並区レジ袋有料化等の取組の推進に関する条例」の制定につながった。

条例の施行によって、事業所のレジ袋使用枚数は大幅に減少したが、これは、協議会が推進したレジ袋削減運動に対し、多くの区民や事業者が理解を示し、レジ袋の削減に取り組んだ成果であると考える。

【Q4】〇マイバッグ推進連絡会の構成員である区内学校や消費者団体、環境団体等からアイディアを募り、さらなるレジ袋削減への取組を進めてほしいと考えるが、区の見解を伺う。

〇最近増えている食料品を販売しているドラッグストアについても、レジ袋の使用状況を調査し、レジ袋削減に取組むべきと考えるが見解を伺う。

【A4:環境部長】  マイバッグ推進連絡会では毎年、学校や消費者団体等の方々からマイバッグの普及促進に向けたアイディアを募り、区主催のイベント等に参加して、区民に向けたキャンペーンを行っている。今年度は、コンビニエンスストアにおけるレジ袋の削減を促すため、啓発ポスターを作成し店舗に配布するなどの取組を行っている。

こうしたコンビニエンスストアやご指摘のドラッグストアにおいては、レジ袋の有料化が進まず、使用量の削減に課題がみられる。今般、東京都は、「2020年に向けた実行プラン」において、「2020年にレジ袋の無料配布ゼロ」を掲げ、日本フランチャイズチェーン協会や日本チェーンドラッグストア協会等業界団体、自治体、学識経験者による、レジ袋削減に向けた意見交換会を開催した。区としては、この取組によって、新たな削減方策が検討されることを期待しており、区の取組と合わせ、さらなるレジ袋の削減を推進してまいりたい。

第4回定例会一般質問 2017.11.17そね文子

いのち・平和クラブの一員として、1.インクルーシブ教育を推進するために、2.マイクロプラスチックの海洋汚染への対策について一般質問いたします。

まずはインクルーシブ教育を推進するための質問です。

日本が障がい者権利条約を批准したのは2014年ですが、それに先立つ形で、2012年7月、同条約に規定された「インクルーシブ教育システム」の構築に向けて「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)」を発表しました。その中には「インクルーシブ教育システム」とは人間の多様性の尊重等の強化、障がい者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的の下、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みであり、障害のある者が教育制度一般から排除されないこと、自己の生活する地域において初等中等教育の機会が与えられること、個人に必要な「合理的配慮」が提供される等が必要とされている。と記されています。また「基本的な方向性としては、障害のある子どもと障害のない子どもが、できるだけ同じ場で共に学ぶことを目指すべきある。その場合には、それぞれの子どもが、授業内容がわかり学習活動に参加している実感・達成感を持ちながら、充実した時間を過ごしつつ、身に付けていけるかどうか、これが最も本質的な視点であり、そのための環境整備が必要である」としています。

また、インクルーシブ教育システム構築のためには特別支援教育が着実に推進されることが必要とされています。そして、このことは杉並区の特別支援教育推進計画の前文にも記されているところです。

  • そこで先ず、区のインクルーシブ教育についての考え、そしてどのように取り組んでいこうとしているかををうかがいます。

2.区では特別支援教育推進計画に従って、全ての小学校に特別支援教室が設置され、それに伴い待機児も解消され、子どもや保護者の通級の負担が減り、人も手厚く配置され保護者からの歓迎の声も届いており、取り組みが進んでいることを評価しています。また杉並区では区立の済美養護学校や特別支援学級で知的障がい児にきめ細かい教育が行われていると認識しています。しかし、それ故に、子どもの就学相談や検査結果を元に教育委員会が判断したことが子どもにとっては一番いいという考え方が教育委員会や校長にあるのではないか、そしてそれを保護者に押し付けるような力が働くことはないでしょうか。

知的障がいのある子どもを保護者が通常学級に通わせたい、また就学相談では支援学校が適当とされた子どもを支援学級に通わせたいという希望を歓迎せず、子どもや保護者を排除するような対応をとることがあっては残念です。

子どもにとって適正と判断されたところがどんなに良い教育をしていようと、就学前から一緒に育ってきた友達と同じ地域の学校に通わせたい、通常学級の子どもの中に身を置くことで、周りの子どもから学ばせたいという選択はあり、文科省もこれを認めています。どの進学先にするか、それぞれの保護者が我が子のために一生懸命考え選択した結果を尊重し、どのようにすれば受け入れられるのか、その子どもにあった教育を提供できるのか、学校内や保護者、専門家も交えてオープンに話し合い、進めていくという対応を、教育委員会と全ての学校で取っていただきたいと考えますが、区の見解をうかがいます。

  • 先に述べたように、知的障がい児が適正と判断された以外のところで学ぼうとする場合がまさにインクルーシブ教育の実践場面となります。先の決算特別委員会でこのような子どもの数を質問したところ、答えが出てきませんでした。また私はこれまでの議会質問で、知的障がい児の個別指導計画が作られず、週1回2時間学習支援教員による取り出し授業が行われている以外はほとんど支援が受けられていない状況があるという保護者からの訴えを取り上げてきました。世田谷区のある公立小学校では、通常学級に在籍する知的障がい児に、きちんと個別指導計画が作られ、それに基づき必要に応じて、教育や心理などを学ぶ大学生ボランティアが付き、手厚い支援が行われているという話を聞きました。杉並区でも学生ボランティアの制度はありますが、登録人数や実行数が少ないと感じます。このような支援が行われている学校もあるのでしょうか。うかがいます。
  • 教育委員会は通常学級に在籍している知的障がい児の人数を把握するとともに、適切な支援を行っている学校の事例を他の学校とも共有し、広げていっていただきたいと思いますがいかがでしょうか、見解をうかがいます。
  • 東京都の指定を受けている特定の障害児通所支援事業者や放課後等デイサービスの事業所には、そこに通う障がい児のより良い支援のために在籍校とその子の課題を話し合うと、関係機関連携の加算が付くという仕組みがありますが、これが周知されておらず知らない学校もあると聞いています。家庭と学校、支援機関の連携を充実させるこのような仕組みはもっと周知され、活用されるべきと考えますが、区の見解をお聞きします。

ところで、ある事業所は、そこに通う障がい児が学校でうまくいっていないと聞き、事業所ではうまくいっているので、学校でもよりよい支援をしてもらうために声をかけたところ、事業所からの提案は受けないと言われたという話を聞きました。子どもの最善の利益の観点から見て、このような対応は問題があるのではないでしょうか。注意を喚起したいと思います。

  • このような事業所には作業療法士や言語療法士、心理士など、様々な専門家がいます。学校はオープンにこのような外部の専門家の意見を聞き、子どもを支えている人たちと共に支援をしていこうという姿勢を持つべきと考えますが区の見解をうかがいます。
  • 知的障がい児を対象とした特別支援学級は小学校9校、中学校5校に設置されています。学校ごとにそれぞれの特色があり、保護者は少しでも自分の子どもに合ったところに通わせたいと思うのは当然だと考えます。指定校はあっても保護者の希望に柔軟に対応することが必要だと考えますが、教育委員会の見解を伺います。
  • また、さまざまな理由から学校不適応となった場合、転校も選択肢に入れた対応が速やかにとられているかどうか、併せてうかがいます。
  • 特別支援学校や支援学級の子どもが通常学級の子どもと交流し、「お互いが地域の仲間」という認識をじかに感じられるようにすることが大変重要と考えます。このような取り組みをすべての学校で積極的に行っていただきたいと思いますが、現在はどのような取り組みがされているか。学校どうしの意見交換、情報共有を図り、区内全体で交流の質を高めていっていただきたいと考えますが、区の見解をうかがいます。

10.先の決算特別委員会で井出教育長から、3年前にPTA協議会がインクルーシブ教育を学ぶことをテーマに取り上げ、初めに大阪のある小学校を舞台にした「みんなの学校」という映画を観て、大変共感したというお話がありました。この作品については、多くのPTAが現在も上映会を相次いで開いたり、それを見て熱心に話し合いの場を持ったり、作品の舞台となった学校の校長先生の講演会が開かれたりしていることに希望を感じ、私自身もそこに参加し地域の学校にどうしたら貢献できるかを考えています。9月に東京大学のバリアフリー教育開発研究センターが主催して行われた講演会で、この小学校の現在の校長先生の話を聞くことができました。この大阪にある公立小学校は現在の在籍児童数が299名でそのうち特別支援学級在籍児童数が53名、通常学級10クラス、特別支援学級10クラスとなるところですが、その特別支援教室をすべてとっぱらい、通常学級10クラスで各クラスに先生が複数配置される形をとっているのが大きな特徴です。つまりインクルーシブ教育を実践しているのです。教育委員会はこのような学校のあり方をどうとらえているかうかがいます。

11.PTAや保護者の活動を後押しし、学校のサポーターになりたい、関わりたいという保護者を学校で受け入れる体制を作っていただきたいと思います。この活動を理解するためには全校の校長先生に、まずこの映画を観ていただきたいと思います。そして校長先生同士でどうやって学校をより地域に開いていくか話し合う場を持つなど取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。うかがいます。

12.先ずは、学校が開かれた場所であってほしいと思います。保護者や地域の人がいつ行ってもいい学校であってほしいと考えますが、教育委員会の見解をうかがいます。

2016年7月に相模原市の障がい者施設「津久井やまゆり園」で19人が殺される事件が起こり社会に大きな衝撃を与えました。経済性や生産性から障がい者は役に立たないという社会の中にある差別がこの事件の背景にあるのではないでしょうか。これを、精神に異常をきたした人物が起こした特異な事件として片づけていいわけがありません。このような事件を2度と起こさないためにも、子どものころから障がい児も健常児も同じ場所で仲間として過ごすことで、互いの存在を自然に認めるようになることが大切だと考えます。自分の中にもある差別に気づき、ともに学ぶことですべての人の存在が認められる共生社会をともにつくっていきたいと思います。

次に大きな項目の2番目、マイクロプラスチックの海洋汚染とレジ袋削減について質問します。

今、マイクロプラスチックの海洋汚染が大きな問題になっています。マイクロプラスチックとは大きさが5ミリ以下の微細なプラスチックのことで、ペットボトル、食品トレー、レジ袋などが紫外線や波の力で壊れて細かくなったものを言います。2016年1月に行われた世界経済フォーラムでも、毎年800万トン以上のプラスチックごみが海に流出しており、このままだと2025年には海の魚3トンに対し、プラスチックごみがその3分の1にあたる1tに、さらに2050年にはプラスチックごみがそれを上回るというレポートが発表されました。また、なんと世界の海水から採取する食用の塩のほぼすべてに、マイクロプラスチックが含まれていることが、複数の研究で判明しています。

海の塩は海水を乾燥させて製造するため、そこに含まれているマイクロプラスチック類がそのまま製品の中に残留するという話です。今年9月6日の東京新聞には、京都大学の田中周平准教授のチームが国内各地のカタクチイワシやマイワシを採取し消化管を調査したところ、その5割強からマイクロプラスチックが見つかったことが掲載されました。マイクロプラスチックは水の中の有害化学物質を吸着する性質があり、化学汚染濃度は海水の5万倍から100万倍にも上り食物連鎖を通して、人体への健康影響も懸念されています。

塩は人の暮らしに欠かせないものであり、日々どんな料理にも使われます。たとえば味噌汁を例にとると、味噌に塩が含まれており、カタクチイワシで作られる煮干しにマイクロプラスチックの有害成分が含まれていると考えると、これは深刻な問題と言わざるを得ません。

この海洋汚染の原因となるプラスチックは、街にポイ捨てされたペットボトル、風に飛ばされたレジ袋などが紫外線によって微細化し、それが雨水と共に川に入り海にたどり着く、またそれよりもっと微細で化粧品や歯磨き粉に含まれるマイクロビーズは下水道でも処理できず海に流れ着きます。この海洋汚染問題が、プラスチックごみを削減することで改善できるとすれば、私たちはすぐにごみになるレジ袋をもらわない、またマイボトルを持って外出しペットボトルをなるべく買わないなど、身近な暮らしの足元を見直す必要があるのではないでしょうか。その観点から質問いたします

  • 先ほど述べた現状において、国や東京都が解決に向けて取り組んでいるところですが、身近な自治体としても取り組みが必要だと考えます。区としてはこの問題をどう認識しているでしょうか、うかがいます。

先ずはこのような事実を知らせる啓発が必要だと考えます。小中学校で行われている環境教育で取り入れる、また小学校の調理実習で味噌汁をつくるときに、この煮干しになるカタクチイワシに日々の私たちの生活から生み出されるマイクロプラスチックの汚染が進んでいることを話題にするなど、先生方にも折を見て子どもに伝える機会をつくっていただきたいと考えます。

  • 大人たちへの啓発も重要です。練馬区は経済課が主催する形で今年11月に東京農工大学農学部教授の高田秀重氏からは「海のプラスチック汚染と私たちの暮らし」、東京理科大学教授の二瓶康雄氏からは「市街地と川のプラスチック汚染」をテーマに講演会が開かれています。杉並区でもそのような講演会を開いていただきたいと考えますが、区の見解をうかがいます。
  • マイクロプラスチックの由来は生産量・使用量の多いレジ袋やペットボトルが多くの割合を占めています。世界ではマイクロプラスチックを増やさない目的でレジ袋の無料配布を禁止している国・地域もあります。杉並区は全国に先駆けてレジ袋削減に取り組み、「レジ袋有料化等の取組の推進に関する条例」を整備するなどにより、大きな成果を上げてきたことを高く評価しています。区では地球温暖化を防ぐためにレジ袋の使用を減らすとしていますが、これはマイクロプラスチックを増やさないことにもつながると考えます。その点に対する区の見解をうかがいます。

 

  • レジ袋条例では対象となる事業所を、前年度のレジ袋使用枚数が20万枚以上の店舗、マイバッグの持参率が60%に満たないところ、食料品を扱っているところと定めています。しかしこの条件を満たすと思われる、大手のドラッグストアが報告書に1件も載っていないのはなぜなのでしょうか。このような店舗もレジ袋削減に取り組む対象とすべきと考えますが、区の見解をお聞きします。

また、新規に店舗が出来たときにマイバッグ持参率60%以上を達成していたところは、その後報告書に載らないことになるとのことですが、最初に60%をクリアしていても、その後の経過を公表することが、継続してレジ袋削減に取り組むインセンティブになると思いますので、その後も報告をもらい掲載するよう要望いたします。

ところで区は毎年マイバッグ持参率、レジ袋年間使用実績、レジ袋削減の取り組みについてなど細かい調査結果を報告しており、有意な取り組みですが、ここで使われている「マイバッグ持参率」という言葉が気になっています。コンビニでガムを一つ、あるいは飲み物を1本買う時、マイバッグは持っていないけれどレジ袋を断る場合、それはマイバッグ持参率にカウントされるのだろうかという疑問がわきます。このようなケースがマイバッグ持参率にカウントされずどのデータにも反映されないとすれば、実態を把握することになりません。細かいことですが、マイバッグ持参率にレジ袋辞退率とカッコつきで併記するなどわかりやすい表記としていただくよう提案いたします。

  • 以前、区にはレジ袋削減推進協議会があり、この協議会の構成メンバーであったスーパーマーケットが自らレジ袋有料化の実験を行い、その成果を踏まえてレジ袋有料化の条例提案を行うなど、大きな役割を果たしてきたと思いますが、区はその成果をどうとらえているのでしょうか。現在この組織は無くなっています。継続的にレジ袋削減の取り組みを進めるために、このような組織は必要と考えますが、区の見解をうかがいます。

レジ袋削減がこれ以上進まない原因のひとつとなっているのが、コンビニエンスストアの姿勢にあるのではないでしょうか。コンビニ事業者が毎年区に提出している報告によると、ほとんどのコンビニエンスストアは声掛けの徹底を行っているとなっていますが、私は区内のコンビニエンスストアで小さいものを購入した時でも「レジ袋は必要ですか」と声をかけられたことはほとんどありません。レジで会計のときにすかさず「袋は要りません」と言葉に出して意思表示をしないと何も聞かずにレジ袋に商品を入れられそうになります。ぜひ声かけの指導を徹底するようオーナーに申し入れていただきたいと思います。また、これだけ多くの店舗を持つ事業者ですから、地球温暖化やマイクロプラスチックの問題を認識し、レジ袋の有料化によって社会的責任を果たすことを、区からも働きかけていただくよう強く要望いたします。

  • 区には区内の学校や商店会連合会、消費者団体や環境団体からなるマイバッグ推進連絡会があります。マイバッグの推進を図ることの目的はレジ袋削減にあると考えます。この連絡会の主な活動は、区内のイベントで啓発を行うことであり、先日行われた杉並フェスタでは風呂敷の使い方を教えていました。文化としての風呂敷はすばらしいものです。しかしスーパーにマイ風呂敷を持参し、そこで買ったものを風呂敷に包むことは現実的でしょうか。マイバッグ推進連絡会で、この会の目的はレジ袋削減にあることをいま一度確認していただきたいと思います。そして、ここに多く参加している学校の学生に、レジ袋削減に向けての講演会やワークショップを行うとか、コンビニエンスストアにアンケート調査を行うとか、もっとできることを考えてはいかがでしょうか。消費者団体や環境活動グループなどからもアイデアを募り、ぜひ自発的に取り組みを進めていってほしいと思いますが、区の見解をうかがいます。

プラスチックは時の経過と共に微細化が進み0.1ミリ以下にもなっていきますが、決して分解して自然に帰ることはなく、小さく回収不能になったものが海の中に漂い、その量が増え続けていきます。数十年経ってこれはいけないと気付いても、もう環境に出たものを回収することはできないので、できるだけ早く手を打つことが必要です。私どもも使い捨てのプラスチックが環境に及ぼす問題について共に考え、その削減のために行動していくことを申し上げ、私の質問を終わります。