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第1回定例会一般質問と答弁 2024.2.16 そね文子

共生社会をつくるためのインクルーシブ保育・教育について

Q1 善福寺でインクルーシブ保育を実践している認可外保育施設は地域の宝である。区の職員も視察に行っていると聞いたが、この施設を区はどのように認識しているか。

A1 子ども家庭部長)当該施設は障がいの有無に関わらず誰でもが集える居場所であることに加え、保護者の急な用事にも対応するなど、インクルーシブな取り組みと子育て支援を実践する好事例であり、関係者の努力に敬意を表したい。

Q2 この保育施設では障がい児、医療的ケア児を含めた一時預かりを実施しているが、区からの補助がないため、利用者は自費で通うしかない現状で、運営事業者は厳しい経営状況にある。横浜市では、認可外保育施設の一時預かりに対して国の交付金を活用した補助を実施している。区においても同様の補助制度ができないか。

A2 子ども家庭部長)現在区では認可外保育施設が実施する一時預かり事業への運営補助の仕組みはないが、子育て応援券事業と保育の必要性の認定を受けた子どもを対象とした保育料補助制度を設けている。

提案のあった補助制度の創設については、横浜市や他自治体の事例を情報収集するとともに、地域の子育て支援や障がい児支援を含め、インクルーシブな居場所など複合的な視点から、事業者とも意見交換を継続しつつ組織横断的な課題整理が必要な段階である。

Q3 国の補助金を活用して一定程度の補助が出たとしても、当該施設では医療的ケアの子どもには作業療法士と看護師の専門職が2人も付けていることから、受け入れには大きな経費がかかる。当該施設を支援するためにも、区が来年度試行的に実施予定の「子ども誰でも通園制度」や新たに実施する「多様な他社との関わりの機会創出事業」の実施対象施設に加えてもらいたいがいかがか。

A3 子ども家庭部長)「子ども誰でも通園制度」や「多様な他社との関わりの機会創出事業」の実施対象施設については、6年度の試行実施では本格実施を想定した保育環境に関する検証を行うことから、認可基準を満たしている保育事業、一時預かり事業をすでに実施している認可保育所、小規模保育事業所を予定している。

Q4共生社会を創っていこうという先駆的な取り組みを区が決意をもって支援し、都や国にこのような事業者を支援する制度を作るように提案していくことが、日本にとっての利益につながることであり、それを強く求めたいが区の見解は。

A4区長)さまざまな状況の子どもの支援を行う施設の取り組みについて改めて学んだ。区内にこのような施設があることは貴重であると認識している。事業所を支援する制度をつくるよう、区が国や都に求めていくべきとの提案があったが、国や都の補助を含めまずは他自治体の取り組み事例を参考に研究していきたい。

共生社会の実現のためには障がいの有無にかかわらず、個々の多様性を受け止め、誰一人取り残さないという包括的な体制作りが必要であるとの認識から、子ども、障がい者、高齢者等すべての分野において取り組みを進めてきた。今後こうした取り組みの一層の充実を図るためには、地域の民間事業者や子育てをはじめとする様々な支援を行う団体等と目指す姿を共有し手を取り合って進めていくことが中である。このように取り組むことで、基本構想に掲げる「すべての人が認め合い、支え、支えられながら共生するまち」の実現に向けて進んでいく。

Q5 国立市では障がいの有無にかかわらず、就学通知書を原則居住地に基づき定められた学校を指定し送付することになったが、杉並区でも同様の取り組みができないか。そうすることにより障がいのある子も地域の学校に行けるというメッセージを示すことができる。

A5 教育委員会事務局次長)

就学通知の送付については就学相談の継続中に当該校以外の通知が届くと、保護者が混乱することから、すべての新就学児に一斉に通知することは難しい。

Q6 知的障がいのある子どもが通常学級に在籍する場合、学習権を保障するために個別指導計画をつくり、それぞれの子どもに合った学びが提供されることが必要だがそれはどのように行われているのか。

A6 教育委員会事務局次長)個別指導計画は学校が保護者と協働して作成するもので、一人ひとりの教育的ニーズに対応した指導目標や指導内容、方法等について共有している。学校では子どもに合った学びを提供するため、短期目標と長期目標を設定し、必ず振り返りを行う。その際個別指導計画を在籍学級の担任だけでなく、関係教職員が情報共有することで組織的な支援体制のもとで指導を行うよう努めている。特に新就学児については校長が事前に本人や保護者と面談を行ったうえで、入学式の練習への参加や教室での座席配置を確認し計画作成に活用している。

Q7 学びを保障するためには学習支援教員や通常学級支援員等の研修を行い適切に指導ができるようにすることが必要だ。また、大人がいなくても障がいのある子を自然と気にかけ支えられるように、周りの子どもを育てることも必要だ。子どもは同じ場所で共に育つことで自然に障がいのある子のことを理解し、配慮できるようになる力をもっていてそれを妨げない大人の研修も必要だと考える。

A7 教育委員会事務局次長)教育委員会では教職員や通常学級支援員に対し、特別支援に係る知識の習得、安全管理等についての研修を行っている。具体的には子どもが一人でできることは見守り、難しくてもできるだけ自分の力で行えるよう支援するときの対応方法や子どもの相互理解や思いやりの気持ちをどのように育むかなどについての研修である。このように子どもの経験や自立、支えあいの機会を妨げない支援のあり方を身につけられるよう努めている。

Q8 通常学級支援員等は子どもを支える大切な存在だが、子どもを支援するための校内の会議に参加していないと聞いた。会議は放課後4時以降に行われることが多いが、支援員の勤務時間は午後3時までとなっていて会議に参加するときは無給になるという。子どもと直接接している支援員が会議に出席するのは必須であり、改善すべきと思うがいかがか。

A8 教育委員会事務局次長)通常学級支援員の校内委員会への参加については、校長が必要に応じて出席を求めるものであり、出席しない場合でも会議記録を共有したりコーディネーターを介して情報共有をしたりなどの工夫により連携に努めている。

 

Q9 杉並区では発達に課題がある子どものために、学校に来て子どもの環境を改善する手伝いを保護者が要請すれば、臨床心理士がケアの方法を先生に伝え、その費用は区が負担する学齢期発達支援事業の学校連携という仕組みがある。学校ではどのくらいこの仕組みが活用されているのか。もし使われていない場合は学校が保護者にこの仕組みを周知し、子どもの環境の改善を図ることを積極的に進めてもらいたいがいかがか。それがひいてはすべての子どもにとって居心地のいい教室づくりにつなが雨と思う。

A9 保健福祉部長)区は学齢期発達支援事業として、小学1年から3年生までの児童を対象に、発達支援を促すための個別指導を実施している。個別指導に加えて、学齢期発達支援所が保護者の求めに応じて臨床心理士等を学校に派遣し、学校の先生に対してケアの方法を伝える学校連携を実施していて、利用者の3割がこの仕組みを活用している。

学校連携の保護者への周知については、毎年小学校の校長会を通じて事業内容の説明やチラシの配布を行っているが、保護者の中には学校連携の利用より個別指導を希望する人もいる。今後は引き続き学校連携の周知に努めるとともに、学校連携を希望しない保護者に対して、子どもの特徴や支援方法等を先生たちと共有するよう事業者を通じて促すなど、子どもたちにとって居心地の良い教室となるよう取り組んでいく。

Q10 杉並区ではすべての学校に特別支援学級を配置し、そこを解体して教師が複数で教室運営を行い、障がいのある子を支援するという形が将来的に目指す形ではないかと考えるが区の見解は。

A10 教育委員会事務局次長)特別支援学級の今後のあり方についてですが、障がいのある子どもとない子どもができるだけ同じ場で学ぶことは大切だ。それぞれの子どもが授業内容を理解し、学習活動に参加しているじかんあ、達成感をもちながら充実した時間をすごしつつ生きる力を身に付けていくことができるかどうかが義務教育においてもっとも本質的な視点であると考える。こうした考えに基づき、杉並区においては児童、生徒の障がいの状況に応じたきめ細かい指導の充実を図るため特別支援学級は継続していくが、国や都および他自治体の動向に引き続き注視していく。

Q11 現在特別支援学級がある学校ではどのくらいの頻度で共同学習を行っているか。

A11 教育委員会事務局次長)交流及び共同学習については、特別支援学級と通常の学級の担任等が定期的に情報交換を行いながら年間計画に基づき行っている。取り組みの内容はさまざまであるが教科等の授業における共同学習や委員会活動への参加、行事への参加などがある。

Q12大きな災害が起こって地域の体育館に避難するとき、周りに知り合いがいない障がい者家族は子どもが声を出したりじっとしていられないことから、避難所に行くことをあきらめざるを得ない状況がある。一方、地域の学校に通っていたから災害時にみんなが思い出してくれたということもある。学校で共に学び、子どもたちがその子を知っていれば避難所に行ける。こういうことからもインクルーシブ教育の必要性を認識したが区教委の見解を問う。

A12 教育委員会事務局次長)特別な支援を必要とする児童、生徒の避難については、災害時においても普段から訪れる場所であることや日ごろから顔を合わせる友達がいるなど、できる限り日常に近い環境を整えることが重要だ。こうしたことから都立を含む特別支店学校に在籍する児童、生徒の復籍交流は有効な取り組みであると認識している。

Q13 済美養護学校のノウハウをぜひ他の学校に広げてほしい。済美養護学校は特別支援教育推進計画でもセンター校の役割を担っていることが示されているが、どのような取り組みが行われ、どのようなノウハウが他の学校に提供され、研修などに生かされているのか伺う。

A13 教育委員会事務局次長)済美養護学校は区内特別支援教育のセンター校として、小中学校からの要請により教員が相談に応じ助言を行ったり、研修で講師を務めたりしている。今年度は「子どもたちが出合いたい教師になるための実践力の磨き方」をテーマに研修を行った。こうした取り組みを小中学校に広げるため、済美養護学校と小中学校全校の特別支援教育コーディネーターの定期的な研修会を通じて子どもの将来の自立を見据えた関わり方などの共有に努めている。

 

第1回定例会一般質問と答弁 2024.2.16 奥田雅子

「みどり豊かな住まいのみやこ」の実現に向けたみどり政策について

Q1 みどり基本計画を策定した1999年から今日に至るまで、杉並のみどりの状況はどのような変化をたどってきたのかを問う。

A1 土木担当部長)5年ごとに行っているみどりの実態調査結果での比較だが、1997年の緑被率は17.59%だった。2022年は21.99%となっていて4.4ポイント増加している。増加の主な要因としては新たに公園を整備したことなどによる樹木被覆率が468haから620haと約150ha増えたことによる。一方まとまったみどりである屋敷林や農地などの緑地は600haから570haと減少している。

Q2 杉並区みどりの条例では、みどりを「樹木その他の植物並びに動植物の生息または生育の基盤である土及び水等の要素と一体となって自然環境を形成している土地」と定義しているが、具体的にどういうことか。杉並区が捉える「みどり」に対する考えを伺う。

A2 土木担当部長)「みどり」とは人や生き物の命、暮らしを支えるものと認識している。具体的には樹木、草花、屋敷林などの樹林地、区民農園などの農地、公園や緑地、河川など、動植物の生育基盤となっているところと捉えている。杉並の原風景といえる屋敷林や農地を守りながら公有地、私有地を問わず新たなみどりを増やし育て、さらにはみどりが持つ機能を活用するグリーンインフラの取り組みを強化してみどり豊かな杉並区を実現していく。

Q3 現在3度目のみどりの基本計画改定検討が進められているが、区は計画づくりの段階から区民と共に策定していくと表明している。検討委員会には公募区民が2人入っているが区民意見を反映するには少ない。区民参加をどのように進めていくのか、スケジュール、体制、手法を含め確認する。

A3 土木担当部長)検討委員会について、公募の区民委員は2名であるが、その他に区民委員として保護樹林と農地の所有者、農業委員会の人、都立農芸高校の人がいる。実際に樹木の維持管理や農業に携わっている区民に委員になってもらうことで、様々な立場からの意見を反映できると考えている。また今回の改定では計画素案の策定段階から区民意見の反映に努めており、幅広く区民の声を聴取し区民と共に作る計画としたいと考えている。2月現在までに、小学生、高校生に対するアンケート、オープンハウスやWebアンケートによる意見聴取を7回行っている。また昨年12月に聴っくオフミーティングを開催し区民意見の聴取を行った。

スケジュールについては、現在実施しているWebアンケートの意見募集を3月まで行い、5回目の検討委員会を同じく3月に開催する。区民の意見を踏まえ、計画案の策定を進め、7月にはパブリックコメントによる意見聴取を行ったうえで必要な修正を行い、11月の策定をめざしている。

Q4 検討委員会の事務局が土木担当部長を筆頭にみどり施策担当課長、みどり公園課で、都市整備部だけで固められていることが気になる。「みどり」はあらゆる部門と関係する分野であり、環境や福祉、防災、教育、産業等分野横断的な議論が必要だと考える。区は基本構想に掲げた「みどり豊かな住まいのみやこ」の実現に向けてこのみどり基本計画がとても重要な計画だと述べているが、どのような庁内検討体制になっているのか。

A4 土木担当部長)検討委員会は土木担当部長をはじめとする都市整備部所管課長のほか、企画、産業振興センター、環境、温暖化対策担当、教育委員会の関係課長をメンバーとする幹事会を設置しており、産業、まちづくり、土木、環境、教育と幅広く分野横断的な体制をとっている。また、必要に応じて関係する職員を参加させ、柔軟な体制のもとで検討を進めている。

Q5 現在のみどりの基本計画は2010年に改定されたが、それから14年間で社会状況も気候変動もまちの風景も大きく様変わりしたのではないか。今回の改定は未来を担う子どもをはじめ、区民が主役となる計画にするとある。前回改定から14年が開いた理由を含め、この間の取り組みをどう総括し次につなげるのか区の考えを問う。

A5 区長)前回の改定から14年の間隔があいた理由の質問があった。計画では目標の中間年次2018年に検証を考えていたが、2018年以降、基本構想、総合計画、実行計画、まちづくり基本方針など上位計画の動きがあったこと、5年ごとに行っているみどりの実態調査を2022年に予定していたことなどを踏まえ今回の改定のタイミングとなった。

これまでの取り組みの総括だが、現行のみどりの基本計画ではみどりを守る、創る、育てるなどの基本方針を定め、保護指定や緑化助成、みどりの講座などの事業を展開してきた。しかし杉並の原風景といえる屋敷林や農地などのまとまったみどりは減少している。屋敷林や農地については近隣住民から落ち葉や日照、土ぼこりなどの苦情があったこと、所有者の維持管理における人的、経済的な負担が大きいことが要因だと考えている。みどり豊かな環境は世代を超えて多くの区民のよりどころであると強く感じており、屋敷林や農地の存亡を所有者のみに任せるのではなく、それらを守り新たなるみどりを創る当事者を増やすことが重要だと考える。ともすれば他人任せであったみどりに対する区民の意識の変容が重要であり、それこそが課題であると考える。

都市の課題解決の手段であるグリーンインフラとしてみどりの持つ生物の生息、生育の場の提供、気温上昇や雨水流失の抑制などの機能が注目されるようになり、みどりに対する区民の関心は高まってきている。このような背景のもと、行政の役割に加え区民が主役となり、みどりを守り、増やし、育てることを区民一人ひとりが自分事として実践できることに重きを置き、区民の声を聞きながら計画の改定に取り組む。

Q6 都立善福寺公園内にある区立遅野井川親水施設は、将来的に遅野井川の延伸を展望しつつ現在の課題である水質や水量の問題を解決することから着手することだと考える。グリーンインフラによって周辺環境がどう変化するのか、それを見える化することも必要であり、そのためには現在の状況把握をすることが重要である。区はグリーンインフラを進めるための検討を2024年度予算化した。その検討の中で善福寺公園上池周辺のグリーンインフラ整備によって上池の浄化と水量の確保について検証する取り組みを一つのモデルとして位置づけてはどうか。

A6 土木担当部長)2024度予算に計上した雨水流失抑制対策強化のうち、グリーンインフラに関する予算では、グリーンインフラの推進に必要な区民への周知や共に考える場を設けるとともに、そこで出たアイデアなどについて学識経験者の知見も取り入れながら検討を進め、具体的なグリーンインフラの取り組みにつなげていくための経費を計上した。

遅野井川の延伸の課題でもある善福寺公園上池の浄化や水量確保については指摘されたように上池周辺地域をモデルとして位置づけ、グリーンインフラ整備による検証も有効であると認識している。そのためには現状把握が必要であり、これまで実施してきた雨水流失抑制対策の実施箇所やみどりの分布状況など関連するデータを整理し、その情報を区民と共有することが重要であり次年度から取り組んでいく。

Q7 杉並区には遅野井川親水施設以外でも自然共生サイトになり得る場所があるのではないか。また、自然環境調査や河川生物調査などを継続的に行っているが、それらのデータがうまく活用されていないように感じている。オープンデータ化し、様々なところで活用されれば新たな発見や自然共生サイトも増えるのではないか。もっと積極的に杉並の良さを発信していくためのデータの活用について区の見解を問う。

A7 土木担当部長)自然共生サイトは国が認定する「民間の取り組みによって生物多様性の保全が図られている区域」のことで、改定中のみどりの基本計画でも自然共生サイトの拡充を目指し場所の選定を検討していく考えだ。区内において遅野井川以外でも自然共生サイトになり得る場所としては区立公園をはじめさまざま考えられる。

データの活用について、これまで蓄積された自然環境調査や河川生物調査の調査結果は公表しているが、調査結果のデータを加工、編集などの二次的利用可能な形式によりオープンデータ化していくことで有効活用が図られるよう検討していく。

Q8 今、善福寺川上流調整池整備で地域住民が揺れている。みどり豊かな生活環境が変わってしまうことの不安や口惜しさは理解できる。洪水対策がふぃようと思っている住民は一人もいないと思うが、その対策の中身についてはもっと地域住民の声が反映されるプロセスが必要だった。今年1月26日付で岸本区長から小池都知事あてに出された東京都都市計画河川第8善福寺川の変更についての都市計画案の回答に付した様々な要望については、引き続き東京都との調整に尽力してもらうことを強く希望するが区の見解を問う。

A8 土木担当部長)善福寺川上流調整池整備については、昨年8月に都が実施した都市計画変更素案の説明会以降、区民から様々な意見や要望が寄せられている。区としては住民からの声をしっかりと受け止め、昨年12月14日付で都に対して、地域住民への説明や情報の開示などを求める要望をした。その後1月20日に都主催の説明会が開催され、区も参加して住民への説明に努めた。

また、都の都市計画案に関する意見照会の回答についてはすでに区のホームページに公表しているが、本都市計画の計画にあたり、周知が十分でないとの住民意見に十分留意し都知事として判断してほしいこと、都市計画決定された場合には工事の影響を最小限にするよう検討を行うとともに、各地域の合意形成に努め地域住民に寄り添った対応を行うことなどを求めた。引き続き都との調整に取り組み、あわせて総合的な治水対策のひとつであるグリーンインフラの推進についても、都と連携、協力し地域住民の協力を得ながら進めていく。

羽毛製品の資源循環について

Q9 区は循環型社会を目指して資源化の推進をすすめているが、昨年10月から粗大ごみとして回収した羽毛ふとんをリサイクルする取り組みが行われている。羽毛ふとんをリサイクルすることになった経緯を伺う。

A9 環境部長)羽毛ふとんのリサイクルは実行計画に定める資源化事業の推進の一環として検討を開始した。昨年度末に先行実施している近隣区を視察し、羽毛が再利用可能な貴重な資源であることを確認、再商品化事業者の視察、粗大ごみ中継所運営委事業者との調整準備を進めた。昨年10月から試行として再資源化を開始し、本年1月末までに粗大ごみとして出された羽毛ふとん515枚を回収し入札で決定した再商品事業者に57万円余で売却した。売却先では自社工程で羽毛を取り出し、洗浄、精製して羽毛原料として再生するほか、羽毛ふとん等に再生、販売し国内で循環利用している。

今年度は試行として開始したところで、区民に新たな分別を求めるものではないことから広報は行っていないが、今後は本格実施として区民に理解、協力を得られるよう周知を進める。

Q10 国内の寝具メーカーやアパレルメーカーと共に羽毛資源の循環に取り組む一般社団法人Green  Down Project、地域内の企業や団体、チャリティショップや障がい者福祉施設等を回収拠点にして羽毛の回収を連携して行うハートステーションプロジェクトという仕組みがあるが、これらの情報を区は把握しているか。

A10 環境部長)民間連携による取り組みについては、羽毛を中心としたリサイクル活動を通じて、羽毛製品の回収や羽毛の取り出しを担う障がい者福祉施設、店頭回収に取り組む民間事業者、再商品化事業者が連携して地域における資源循環の仕組みを作り上げ、障がい者福祉施設の支援にも役立つなど優れた取り組みであると認識している。

Q11 ダウンジャケットなどの衣類は古布として出され、その後の行方がわからない。資源として生かしていくには別に回収する仕組みが必要であり、地域内回収拠点ができればダウン製品の回収も広げることができる。羽毛の回収対象を広げることも今後の検討課題としてほしいがいかがか。

ダウンは健康にも環境にも優しく、繰り返し使うことで未来にわたって持続可能な資源になる。またリサイクルの過程で障がい者の雇用を生み出したり、社協と連携して赤い羽根募金を生み出すUmouプロジェクト、Green Down Project、ハートステーションプロジェックなど参考となる取り組みがある。

区民や地域の事業者や団体を巻き込んで「みんなでダウンリサイクルに取り組もう」というムーブメントを区が仕掛けてはどうか。

A11 環境部長)羽毛ふとん以外の資源化については再商品事業者からは採算性の点で難しいと聞いているが、民間各団体の中には全国規模で連携を進め、区内にダウンジャケットや寝袋を含む回収拠点を持つ団体もある。今後回収拠点の拡充や区として支援できること等について団体と意見交換を行い、区の取り組みとあわせて羽毛資源化に関する周知を行い区民の関心を高めていきたい。

 

第1回定例会一般質問 2024.2.16 そね文子

私は区議会生活者ネットワークとして、共生社会をつくるためのインクルーシブ保育・教育について一般質問いたします。

日本は2014年に障害者権利条約を批准し、障がいがある人も無い人も互いを認め合い、それぞれがその持てる力を活かし、共に生きる共生社会を創ることを標ぼうしています。

しかし、2022年9月に障害者権利条約に照らして、国連の権利委員会から日本政府に出された勧告には、精神科病院での無期限の入院の禁止や施設から地域生活への移行を目指す法的な枠組みづくりの他、障がいのある子と無い子が共に学ぶインクルーシブ教育の確立のため、すべての障害のある生徒が個別支援を受けられるよう計画を立てるといった対応をとる必要があると指摘されています。権利委員会が「分離教育は分離した社会を生む」「インクルーシブ教育は共に生きる社会の礎である」としていることはもっともだと考えます。

すべての人が互いを認め合う共生社会は誰にとってもやさしく生きやすい社会です。そのような社会をつくるためには、子どものころから障害がある子も無い子も共に過ごすことが必要だと考え、インクルーシブな保育と教育について質問いたします。

まずは保育についてです。区立保育園や認可保育園では障害のある子どもを受け入れているところも多く、そのような環境がおおむね確保されていると認識しています。ここで取り上げたいのは、医療的ケア児を含む障害のある子もない子も、また不登校の子どもも受け入れる形で一時預かりを行っている認可外保育施設についてです。そこでは子どもの発達について学ぶ保護者向けの学習会も行っており、その考え方にもとづいて行う保育の現場と学習会を両方見せていただきました。木をふんだんに使い家庭的な保育が行えるよう特別に設計を依頼して建てられた施設は、子どもが入って落ち着くための押し入れのような隙間があったり、随所に工夫が凝らされていました。少し長くなりますが、そこで行われていた保育の様子と体験させてもらったことをお話したいと思います。

伺った日は医療的ケアが必要な子どもが来ていて、看護師と作業療法士2人が担当されていました。そのほかには一時預かりで2歳までの子どもが数人、その日は学校に行かずにここに来た小学生も一緒に、善福寺公園に行って過ごしました。医療的ケア児のA君はアリを捕まえたくて看護師さんが虫かごを持ち、作業療法士さんがAくんを抱っこして公園に行きました。私はA君にありを見つけてあげたくて探しましたが、見つからず、でも落ち葉を掻きわけてダンゴムシを見つけて、手のひらにのせてA君の目の前に持っていきました。しばらく見ていると丸まっていたダンゴムシが体を伸ばし、仰向けになってなんとかひっくり返ろうと足をバタバタし出しました。誰かが手のひらに一緒にのせてくれたミミズも急にねずみ花火のようにくるくる手の上で飛び跳ね始めました。言葉を話さないAくんが、それを食い入るように見ているので、「持って帰る?」と聞くと、虫かごを指さして意思を示してくれました。Aくんがすごい集中力でその場を楽しんでいることが私にも感じられ、言葉は無くても一緒にいれば気持ちが通じることを体験させてもらいました。でも、考えてみれば子育てでは、話ができない子どもの思いをくみとり、その子の考えていることがわかるというのは多くの方が経験していることだと思いました。ましてやAくんと一緒に過ごす、まだ言葉が発達していない子どもたちは、まるごとAくんを認め思いを感じ取っているのではないでしょうか。

Aくんを抱えて作業療法士さんが階段を下りているとき、階段の下で他の子どもがまるでAくんを下から支えるように手を広げて待っている場面が見られました。Aくんがいることが他の子どもの成長や優しさを引き出すこのような場面はインクルーシブな保育だからこそ出会えるものだとのお話に強く心を動かされました。

この保育施設が行うインクルーシブ保育についての説明には、心と体が育つ外遊びを中心としたプログラムが実施されていること、個々の発達段階にあわせ、遊びから生きる力である非認知能力を育むこと、多様性を大切に、自己肯定感を育むこと、体験や対話から学ぶことを大切にする保育が行われているとあります。

先にも述べましたが、この事業者は親支援にも力を入れていて、発達支援アドバイザーによる親向けの学習会も積極的に行っています。子どもの困った行動は発達の過程で必要なことであり、その意味を理解することで親の情緒が安定し、子どもは安心して遊びの中から成長していける、という保育の理念を保護者と共有し親も子も支援していることに深く共感しました。

またこの事業者は、善福寺プレーパークの事務局も担っていて、広く地域に貢献していることも、覚えておきたい点です。

杉並区の担当課長も何度もこの場所を訪れていると聞きましたが、まず初めに、ここをどのように評価しているでか、伺います。

この保育を体験された保護者、近隣の方たち、ここを訪れた行政職員や一般の人たち皆がここのすばらしさを理解されていくということですが、杉並区には認可外保育施設の一時預かりに補助が出る仕組みがなく、また他のところに行けば無料で支援が受けられる障害のある子どもたちも、ここには自費で通うしかない現状があります。先ほど述べたように、少人数であっても乳幼児には大人が十分つかなければ外遊びを大切にした丁寧な保育をすることはできません。経営的に大変厳しい状況にあることは想像に難くないと思います。

区の職員の方たちは、国の制度の児童発達支援事業所になれば補助金が出ることなどの助言をされているということですが、一時預かりを必要とするいろんな子どもたちがインクルーシブで育ちあうことに大きな意味があるのに、補助を受けるために障害がある子と障害のない子が行政の縦割りに合わせて分けられることになればせっかくの宝をなくすことになってしまいます。

ここで横浜市の事例を紹介したいと思います。あるNPO法人が運営する認可外保育施設では保護者の要請に応じて障害がある子もない子も一時預かりを行っており、その実績から地域に必要な事業であるとして市に要望を行い、補助金が出るようになった話を伺いました。このNPO法人が事業を始めたきっかけは杉並区のひととき保育を視察したことだったそうで、杉並区でもぜひ補助をつけてもらってと話してくれました。横浜市に問い合わせたところ、国の子ども子育て支援交付金を活用して補助を出しているということです。年間に延べ9万人が利用していて、預ける人の負担は1時間300円とのことでした。このような制度を杉並区でもつくることはできないでしょうか、伺います。

国の交付金を利用して一定程度は補助がでたとしても、医療的ケアが必要な子どもには作業療法士と看護師のような専門職が2人も付くことから、受け入れにはそれ以上の大きな経費がかかりますから、安定してこの形態で保育を行っていくにはさらなる援助が必要です。

国は「こども誰でも通園制度」をつくることを表明し、それに応じて区でも来年度から始めようとしています。この施設を来年度試行的に実施する予定である「こども誰でも通園制度」や東京都が新たに実施する「多様な他者とのかかわりの機会の創出事業」の実施対象に加えていただきたいと思いますが、区の見解をうかがいます。

共生社会を創っていこうという先駆的な取り組みを、区が決意をもって支援し、都や国にこのような事業者を支援する制度をつくるよう提案していくことが、日本にとっての利益につながることであり、それを強く求めたいと思いますが、区の見解をうかがいます。

次にインクルーシブな教育についてうかがいます。

杉並区基本構想の3つの基本理念の一つに、「認め合い 支え合う」と掲げ、その中では「様々な価値観を互いに認め合い、支え―支えられる地域社会をつくっていくことにより、地域で暮らす人たちが、誰一人として差別されず、取り残されない社会にしていきます。『人生100年時代』を見据え、すべての区民が自らの人生を豊かに生きていくことが出来る社会を築いていきます」とうたわれています。

そのような社会を築くためには地域で顔の見える関係をつくることが必須だと考えます。障がいのある子どもが安心して地域の学校に通い、区がその子に合った学びを保障することは、杉並区特別支援教育推進計画の中にも、「すべての区立学校が合理的配慮を必要な子どもへ提供できることを目指します」と明記されています。

障がいのある子どもが安心して地域の学校を選んでいいと思える仕組みが必要だと思います。国立市では就学通知書を原則、学区の学校で障害の有無にかかわらず全員に送付することになりましたが、杉並区でも同様の取り組みができないでしょうか。このことにより、障がいのある子も地域の学校に行けるというメッセージを区が示すことができると考えますが、区の考えをうかがいます。

知的障害のある子どもが通常学級に在籍する場合、学習権を保障するためには個別指導計画をつくり、それぞれの子どもにあった学びが提供されることが必要ですが、それはどのように行われているのでしょうか。うかがいます。

その学びを保障するためには学習支援教員や通常学級支援員、介助員ボランティアの方たちの研修を行い適切に指導ができるようにすることが必要だと考えます。また周りの子どもを、大人がいなくても障害のある子のことを自然に気にかけ、支えられるようにはぐくむことも必要です。子どもは同じ場所で共に育つことで、自然に障害のある子のことを理解し、配慮出来るようになる力を持っていて、それをじゃましない大人のあり方を学ぶ研修も必要だと考えますが、それがどのように行われているかうかがいます。

通常学級支援員や介助員ボランティアは障がいのある子どもの学校生活を支える大切な存在ですが、その方たちから子どもを支援するための校内の会議に参加していないと聞きました。会議は放課後4時以降に行われることが多いのですが、支援員の方たちの勤務時間は午後3時までとなっており、会議に参加したいときは無給になるそうです。子どもと直接せっしている支援員が会議にでることは必要ではないでしょうか、見解をうかがいます。

⑤これまでも作業療法士が教室に入り、じっとしていられない子の様子を見て、その子が落ちつく方法を先生に伝え、先生がその方法を取り入れることで、その子は教室にいやすくなるということを度々議会で取り上げてきました。杉並区では発達に課題がある子どものために、学校に来て子どもの環境を改善する手伝いをしてほしいと保護者が要請すれば、作業療法士ではないが、臨床心理士の方などが来てくれてケアの方法を先生に伝え、その費用は杉並区が払うという学齢期発達支援事業の学校連携という仕組みがあります。学校ではどのくらいこの仕組みが活用されているでしょうか。もし使われていない場合は、学校が保護者にこの仕組みを周知し、子どもの環境の改善を図ることも積極的に勧めていただきたいと思います。それがひいてはすべての子どもにとって居心地のいい教室づくりにつながると思いますが、区の考えをうかがいます。

「みんなの学校」というドキュメンタリー映画の上映会が杉並区でも頻繁に開催されていましたが、この映画の舞台となった大阪市にある公立小学校では、特別支援学級を解体し、障害のある子も通常学級に席を置き、教室に先生が複数体制で入ることで、障害のある子も地域の学校に通う、フルインクルーシブに近い環境をつくっています。このように杉並区でもすべての学校に特別支援学級を配置することにして教師を加配し、実際にはそこを解体して教師が複数で教室運営を行い、通常学級にいる障がいのある子の支援をするという形をとることが将来的に目指す形ではないかと考えますが、区の見解をうかがいます。

現在、特別支援学級がある学校では、どれぐらいの頻度で共同学習などを行っているかうかがいます。これも顔の見える関係を築くのに重要なことと考えます。

⑦先日、東京生活者ネットワークで、障害者権利条約における障害児者の権利の展開や日本におけるインクルーシブ教育実現に取り組んでいる東洋大学客員研究員の一木玲子さんを招き「フルインクルーシブ教育へのロードマップ」をテーマとした学習会を行いました。そこで一木さんが言っていたのは、大きな災害が起こって地域の体育館に避難をするとき、その回りに知り合いがいない障害者家族は子どもが声を出してしまったり、じっとしていられないことから避難所へ行くことをあきらめざるを得ない状況があることをうかがいました。一方地域の学校に通っていたから災害時に「歩けない○○ちゃんを助けに行こう」と皆が思い出したという話もしてくれました。学校で共に学び、子どもたちがその子を知っていれば、避難所にいけます。こういうことからも、インクルーシブ教育の必要性を認識したところですが、区教委の考えを伺います。

先日済美養護学校を視察させていただきました。そこでは一人一人に対応した学習が行われ、校舎の廊下のいたるところに大きな絵本が置かれていて、子どもたちが好きに手に取れるようになっていました。廊下の壁には子どもたちの作品が飾られ、楽しい雰囲気に満ちていました。「自他を認め、社会の中で生きる力と生きる喜びを育む」という教育目標をかかげ、毎日通いたくなる学校を目指しているという校長先生の話を伺い、それが実現されているところに感銘を受けました。不登校の子どもが900人もいる杉並区にあって、ここでの不登校はゼロで、子どもたちが楽しく学べる環境を作っていて、他の学校にもぜひそのノウハウを広げてほしいと思いました。済美養護学校は特別支援教育推進計画でもセンター校の役割を担っていることが示されていますが、どのような取り組みが行われ、どのようなノウハウが他の学校に提供され、研修などに生かされているのか、最後にうかがいます。

区議会の中でも、発達障害を持つ子どもの特別支援学級設置を求める保護者の声を受け、質疑が行われています。今の通常学級で、我が子の自己肯定感が低くなることを心配する保護者の方たちの気持ちは私も理解するところです。しかし、私が目指すべきと述べているインクルーシブ教育は、同じ教室の中にいながら、それぞれの特性に合わせた教育が行われること、互いの違いを認め合うことを目指すものです。私はインクルーシブ教育をもっとすすめるべきと考えていますがセイビ養護で行われている取り組みを否定するわけではありません。むしろこのような教育が全ての学校で実践されればどんなにいいか、そうすれば養護学校は必要なくなるのではと考えます。済美養護の教育がすべての学校にひろがるときは杉並でインクルーシブ教育が実現したときだと思います。それはすべての子どもにとって心地よい、不登校の子どもも発生しにくい、やさしい教室です。そのことを申し添え、私の一般質問を終わります。

 

第1回定例会一般質問 2024.2.16奥田雅子

質問に入る前に、今年元日に発生した能登半島地震から1か月半が経過しましたが、未だ不自由を強いられている被災者の方々、大切なご家族やご友人をなくされた方々にお見舞い申し上げるとともに、犠牲になられた方々のご冥福をお祈りいたします。

1.「みどり豊かな住まいのみやこ」の実現に向けたみどり政策について

2.羽毛製品の資源循環について

一般質問します。

「みどり豊かな住まいのみやこ」の実現に向けたみどり政策について

杉並区のみどりの基本計画は1994年の都市緑地保全法の改正に基づき、1999年に最初に策定されました。その後2005年、2010年と改定が重ねられ、現在、3度目のみどりの基本計画の改定の議論が進められています。現基本構想の「みどり豊かな住まいのみやこ」にあるように、「みどり」は杉並を象徴するキーワードの一つとなっています。改めて「みどり」は私たちの暮らしに何をもたらしてくれるか、そのために必要なことは何かについて区の考えを確認していきたいと思います。

私が住む上井草地域は比較的みどりが多く残っており、環八から住宅地に入ると夏は気温が1~2℃下がり、早稲田通りを南側から北側に渡ってくると空気が違うと言う方がいて、みどりって大事だなぁと実感しています。しかし、この20年間で早稲田通り沿いの生産緑地はほぼ消滅してしまい、住宅地内にあった緑地も戸建て住宅や高齢者施設にどんどん変わっています。相続税を払うためにやむなく売らざるを得ない状況もよく耳にします。

今あるみどりをいかに残し、どう増やしていくのか、気候危機が深刻化する昨今はますます重要なテーマになっています。

第1回のみどりの基本計画検討委員会(以下検討委員会といいます)の議事録の中で、中杉通のけやきは地元の人が買って植栽し、落ち葉の要望も(多分、苦情ということだと思います)当時は1件もなかったのは地元が誇りを持っていたからだとありました。私は40年ほど前に初めて中杉通りに来た時のけやき並木に感動したことが忘れられません。なので、今もけやきの状況が気になってしまいます。みどりは私たちの生活に様々な効果をもたらしてくれるため、みどりを残していきたい、増やしていきたい立場から質問していきます。

①まず、最初にみどりの基本計画を策定した1999年当時から今日に至るまで、杉並のみどりの状況はどのような変化をたどってきたのか伺います。

②杉並区みどりの条例ではみどりを「樹木その他の植物並びに動植物の生息又は生育の基盤である土及び水等の要素と一体となって自然環境を形成している土地」と定義していますが、具体的にどういうことか。杉並区が捉える「みどり」に対する考えを伺います。

③現在、3度目のみどりの基本計画改定検討が進められていますが、区は計画づくりの段階から区民とともに策定していくと表明しています。まさに、みどりの基本計画のようなものは長期的スパンの視点を持って、子どもから高齢者など様々な立場の区民参加のもとで策定するにふさわしいものだと考えます。昨年12月には「杉並のみどりをどう守る?どう創る?」というテーマで聴っくオフミーティングが開催されました。様々な意見が出ていたのはHPの報告で見ましたが、区が区民の意見を聴くというだけではなく、策定に至る過程で区民が議論に参加することも大事だと思います。検討委員会には公募区民が2名入っていますが、区民意見の反映をするには少ないのではないか。区民参加のあり方としてどのようにすすめて行く考えなのか。スケジュール、体制、手法含め確認します。

④また、検討委員会の事務局が土木担当部長を筆頭にみどり施策担当課長、みどり公園課で、都市整備部だけで固められていることが気になりました。今では、「みどり」というテーマには欠かせないグリーンインフラですが、検討委員会でもグリーンインフラとは、自然の機能を活かして地域の社会課題である教育、福祉、医療、観光、生物多様性、生態系保全を解決していくという考えだという指摘があり、私もまったく同感です。私がイメージする「みどり」もあらゆる部門と関係する分野だと思っており、環境や福祉、防災、教育、産業等、分野横断的な議論が必要だと考えます。区は基本構想に掲げた「みどり豊かな住まいのみやこ」の実現に向けて、このみどり基本計画はとても重要な計画だと言っている訳ですが、どのような庁内検討体制となっているのか確認します。

⑤現在のみどりの基本計画は2010(平成22)年に改定され、今日までの約14年間で社会状況も気候変動もまちの風景も大きく様変わりしたのではないでしょうか。今回の改定では未来を担う子どもをはじめ、区民が主役となる計画に改定するとあります。前回改定から14年開いた理由含め、この間の取組をどう総括し、次につなげる課題について区の考えを伺います。

杉並区には善福寺川、妙正寺川、神田川と3本の川が流れていますが、水とみどりは切っても切れない存在であり、そこに棲む生物も同じ土俵で議論されなければならないと考えます。私は、この間、生物多様性やあまみずの貯留、利活用、グリーンインフラについて度々質問にも取り上げてきました。2021年6月に英国で開催されたG7サミット、さらには2022年12月の生物多様性条約COP15で新たな生物多様性の世界目標「30by30」が確認されました。「30by30」とは2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようという目標です。私は昨年の第1回定例会の代表質問でもその世界的目標の中で杉並区としても足元の生物多様性の保全の考え方を明確にしておく必要があると訴え、みどりの基本計画改定を機に改めて生物多様性地域戦略の策定を求めました。これに対し区長からは「他自治体では生物の生息場所の保全、創出および管理に関する緑の基本計画に生物多様性地域戦略を包含して策定している例があり、杉並区でも自然環境調査を実施していることから生物多様性の視点に重きを置いてみどりの基本計画の改定作業に取り組む」と答弁がありました。

その後、昨年の10月には都立善福寺公園内にある区立遅野井川親水施設が都内の区立施設として初の自然共生サイトに認定がされました。この自然共生サイトは「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られる区域」を国が認定するもので、「30by30」の目標達成を目指します。自然共生に認定がされると国立公園のような保護地域以外でも「事業者・民間・地方公共団体等による様々な取組みによって生物多様性の保全が図られている区域」という意味の国際データベースOECM(other effective area-based conservation measures)に登録がされます。

遅野井川親水施設は利用者も多く、丁寧な管理によって子どもたちの自然体験の場としても有効な環境になっています。私は2022年11月に開催された善福寺川フォーラム2022で、遅野井川親水施設をさらに善福寺公園の下池につなげたいという市民の思いに触れ、水質の改善や水量確保など今も課題となっていることを共有しました。遅野井川親水施設をつくる過程において、2018年の予算特別委員会でも上池の水質改善のためにかいぼりを東京都に要望してほしいと求めたことがありました。当時の区長からは「東京都の公園だけど調整をしながら、どういうことができるか検討していきたい」との答弁を頂きましたが、その後、特にそのような動きは確認できていません。しかし、市民団体はその後も継続してどうしたら遅野井川の環境をよりよいものにできるか、延伸が図れるかを一生懸命考えています。

⑥将来的には、遅野井川の延伸を展望しつつ、現在の課題である水質や水量の問題を解決することから着手することが必要だと考えます。グリーンインフラによって周辺環境がどう変化するのか、それを見える化することも必要であり、そのためには現在の状況把握をすることが重要です。区はグリーンインフラを進めるための検討を2024年度に予算化しました。その検討の中で善福寺公園上池周辺のグリーンインフラ整備によって上池の浄化と水量の確保について検証する取り組みを一つのモデルとして位置づけてはどうかと考えますがいかがか。

⑦杉並区には遅野井川親水施設以外でも自然共生サイトになり得る場所があるのではないでしょうか。継続的に実施している自然環境調査や河川生物調査などの結果も重要なテータとして蓄積されていますが、それらのデータが上手く活用されていないようにも感じています。オープンデータ化し、様々なところで活用できれば、新たな発見や自然共生サイトも増えるのではないかと考えます。もっと積極的に杉並の良さを発信していくためのデータの有効活用について区の見解を伺います。

⑧今、善福寺川の洪水対策として東京都が施工する善福寺川上流調節池整備で地域住民が揺れています。みどり豊かな生活環境が変わってしまうことへの不安や口惜しさは良く理解できます。洪水対策が不要と思っている住民はいないと思いますが、その対策の中身についてはもっと地域住民の声が反映されるプロセスが必要だったと思います。東京都市計画河川第8号善福寺川の変更に関する小池都知事から岸本区長への意見照会について、今年1月26日付で岸本区長からの回答の中に様々な要望が付記されました。これについては、引き続き、東京都との調整に尽力していただくことを強く要望しますがいかがか、区の見解を最後にお聞きし、次のテーマに移ります。

羽毛製品の資源循環について

羽毛製品、つまり、ダウンジャケットや羽毛ふとんは軽くて暖かく、多くの方に重宝がられているアイテムとなっています。しかし、ダウンに使われる羽毛は水鳥のムネの柔らかい部分で1羽の水鳥からはたったの10gしかとれません。現在ダウンは食用の水鳥の副産物としてしか利用ができないため、新毛として手に入れるためにはダウンジャケットで10羽、羽毛ふとんで100羽の水鳥を食べなくてはならない計算になります。食用水鳥は世界全体の約75%を中国で消費し、残りの25%は西欧や日本で消費されています。しかし、世界的に食用水鳥の飼育日数を短くした安価な肉が求められる流れの中で、羽毛の採取量やダウンの比重、品質の低下を招いていることや中国でのダウン製品の需要の高まり、さらには鳥インフルエンザの影響もあり、今後、良質な新毛は手に入らなくなると言われており、リサイクルシフトが必然となっています。ダウンは実はとても丈夫で一生ものとも言われおり、新毛よりむしろリサイクル羽毛の方が品質が良いとさえ言われています。

私が運営に関わっているチャリティショップでは不要になったダウンジャケットや羽毛ふとんを回収し、三重県伊勢市の羽毛精製加工を行う事業者に送っています。先日、そのリサイクル工場を視察し、ダウンのリサイクル事情についても学んできました。そこでのヒントをもとに質問します。

①区は循環型社会を目指して、資源化の推進をすすめていますが、昨年10月から粗大ごみとして回収してきた羽毛ふとんをリサイクルする取組みが行われています。羽毛ふとんをリサイクルすることになった経緯について伺います。

②昨年10月から回収を始めて、まだ間もないと思いますが、どのくらいの羽毛ふとんが回収されたのか。また、広報はどのように行ったのか、伺います。

③回収された羽毛ふとんが、その先、どのように循環のサイクルにのっているのかを区は把握していますか。把握していれば、その内容を教えてください。

④視察した先では、国内の寝具メーカーやアパレルメーカーなどと共に羽毛資源の循環に取組むために、2015年4月に発足させた一般社団法人Green Down projectについて話を聴いてきました。また、地域内の企業や団体、チャリティショップや障がい者福祉施設等を回収拠点にして羽毛の回収活動を連携して行うハートステーションプロジェクトという仕組みもあります。これらの情報について区は把握していますか。

⑤区が集めているのは羽毛ふとんだけと伺いました。ダウンジャケットなどは衣類などの古布として出されていると思われますが、その後の行方が分かりません。資源として活かしていくには別に回収するしくみが必要であり、そのために地域内回収拠点ができればふとん以外のダウン製品の回収も広げることができると考えます。皆さんが着ているダウンジャケットのタグを見ていただくとダウン90%、フェザー10%などというような表示があると思います。ダウン50%以上であればリサイクルに回すことができるということですので、おおよそのものは対象になるのではないかと思います。循環型の社会を築くのであれば、羽毛の回収対象を広げることも今後の検討課題としてほしいと考えますがいかがか、見解をお聞きします。

⑥今後、ダウンのリサイクルはますます当たり前になっていくと思われます。ショップ店頭で回収し始めているところもありますが、ダウンは健康にも環境にも優しく、繰り返し使うことで未来に渡って持続可能な資源となります。また、リサイクルの過程において障がい者の雇用も生み出したり、社協と連携することで赤い羽根募金を生み出すUMOUプロジェクトというものもあり、先ほどのグリーンダウンプロジェクトやハートステーションプロジェクトも含め参考となる取組が既にあります。区民や地域の事業者や団体を巻き込んで「みんなでダウンリサイクルに取り組もう!」というムーブメントを区が仕掛けてはどうかと考えますがいかがか、最後に区の見解を伺って、私の一般質問を終わります。

第1回定例会一般質問 2022.2.15 そね文子

私は、いのち・平和クラブの一員として

1.HPVワクチン積極勧奨を再開することへの懸念について

2. 新型コロナワクチンを子どもに接種することの疑問について質問いたします。

まずはHPVワクチンについてです。

2013年6月、安全性に課題があるとされ、定期接種になってからわずか2か月後に積極的勧奨が中止されていたHPVワクチン、いわゆる子宮頸がんワクチンですが、2021年11月12日に行われた厚労省のワクチン副反応検討部会で積極的勧奨再開が決定されました。この日の検討部会の後に今も副反応の被害に苦しむ女性たちが記者会見を行った一部の声を紹介したいと思います。

彼女は今から4年前の高校1年生の夏に歩けなくなり、高校3年間障害を抱えながら過ごしました。その時両親に宛てた手紙に「治療法がきっと見つかると信じている」ととても前向きに書いてあったこと、けれど実際は4年前の症状と変わらないまま今も生活していることを語りました。今すぐにでも痛みのない、障がいのない生活を望んでいる彼女にとって4年はとても長い月日であったこと。高校生なりに頑張って活動し、厚労大臣から直接「被害者に寄り添っていきたいという言葉を聞いた時には「やっと助けてもらえる」と心から嬉しく思ったこと。でもそれから寄り添ってもらっている、助かったと思ったことは一度もなかったこと。HPVワクチンの積極的勧奨再開が決定したということを聞いて、あらためて私たち被害者のことを心から見ていないなと実感しましたと涙ながらに語りました。多くの被害者が今でも継続した痛みや体の不調で普通の生活が送れないでいることを決して忘れてはいけないと思います。

国の動きを受けて、私どもいのち・平和クラブは12月7日に区内在住の被害者家族と共に区長と面会し、積極勧奨再開にあたっての慎重な対応を求める要請書を提出しました。その際には被害者の話に耳を傾け、また保健所長、保健予防課長も同席され一緒に話を聞いていただいたことには感謝しています。被害者は現在就職活動中ですが、体調不良を理解してもらうため企業(会社)にHPVワクチンの副反応被害のことを話すと、企業が拒絶反応を示すことが繰り返されたそうです。被害者がここでも2次被害、3次被害に遭うことを改めて認識しました。ご家族は河北病院が最初に丁寧に副反応症状を診てくれ、その後も別の症状でかかるときは配慮をしてくれていることから、理解がある病院として区から紹介していただきたいことなど具体的な話をされました。区長は、このような情報を保健所から医師会に文書で伝えること、被害者が出た自治体の保健所として、このケースを引き継いでいくことなどを指示され、心強く思いました。

区長に要請した内容は、被害がでた自治体としてこれまでの慎重な姿勢を維持し、接種対象者に丁寧な説明を行い、被害を生まないための対策をとることです。

HPVワクチンの副反応に対しての治療法は確立していないこと。今のワクチンの薬液は多数の副反応報告が相次いで、いったん積極勧奨が中止されたときとまったく変わらないこと。全国に84か所もの協力医療機関を指定しなければならない被害を前提としているワクチンだということ。これまで多くの被害者が出て、現在も130人が国と製薬会社を相手に薬害の裁判が継続していることを伝わるようにしていただきたいということです。

それでは、以下質問いたします。

  • 国が積極勧奨再開を決めましたが、区民の健康といのちを守る基礎自治体として、また重篤な被害者が出て、その方に長く寄り添ってきた自治体として、2度とこのような被害を出さないという決意をもって対応されることを望みますが、改めて区長の見解をお聞きします。

厚労省の副反応検討部会の11月12日の議事録を確認すると、安全性が確認されたから安心して接種を受けられるということではないことが、議論からわかります。

一部抜粋して紹介します。

副反応や相談が増えたときには協力医療機関を増やすことはその時点でまた考えるという解釈でよろしいか。

もし再開した場合には、ほかの定期接種とは別に安全性の再評価をしていく、そういう方向を考えられたらどうか。

HPVワクチンは現在3か月に1回の審議となっているが、積極勧奨がもし再開された場合は、しばらくの間、もう少し頻度を多くして間隔を短くするのがいいのでは。

などです。このように積極勧奨が再開された際に副反応が多数でることを予測し、他の定期接種とは別に再評価することや検討期間を頻繁にすること、協力医療機関の研修を強化することの議論が繰り返されたのです。

  • 2020年10月、厚労省が積極勧奨にならないように個別にHPVワクチンの情報提供をするようにとの通知を出したことを受けて、区は12月にHPVワクチン接種対象の小学6年生から高校1年生までに個別にはがきで情報提供を行いました。この時は、積極勧奨が控えられていることがよくわかる通知となっていました。今年度はどのように情報提供をされたのか確認します。
  • 2022年4月から積極勧奨が再開されることになります。厚労省の資料から導きだした数字で見ると、副作用被害救済制度における、障害年金の対象となる障害、それは日常生活が著しく制限される程度の障害とされますが、その認定数が、他の定期接種ワクチンの死亡及び障害の認定数の約15倍となっており、さらに定期接種になってからの数字で比較するとその頻度は約31倍となっています。副反応の症状は、頭痛、全身疼痛(光過敏、音過敏、嗅覚障害)、激しい生理痛、脱力、筋力低下、不随意運動、歩行障害、重度の倦怠感、集中力低下、学習障害、記憶障害、発熱、月経異常、過呼吸、睡眠障害など、全身に及ぶ多様な症状が一人の患者に重層的に表れるという特徴があります。その治療法は確立しておらず、被害者は現在も副反応症状に苦しんでいます。副反応として専門的な治療を行っている医療機関は全国でもわずかであり、そうした医療機関への遠距離入通院は患者に重い負担となっていますし、そもそも適切な治療を受けられていない人も少なくありません。そしてこの通院に新型コロナがさらなる追い打ちをかけて、県をまたいでの受診が出来なくなるなど十分な治療が受けられない状況が生まれています。副反応は日常生活や就学に重大な影響を及ぼし、10代前半で接種した被害者の女性たちは通信制高校への転校、進学や将来の目標を断念といった深刻な被害を受けてきました。そして社会に出る年齢となった今、副反応は就労の重大な障害となっています。

区はこれまで区独自の「リーフレットを作成し、保健所に予診票をとりにきた接種希望者にしっかりと副反応のことなどを伝えたのちに予診票を渡していたと認識しています。現在はその体制が維持されているのか確認します。また来年度以降も、区のこれまでの被害状況を踏まえ、独自の情報提供を丁寧に行うことを求めますが、いかがか伺います。

  • 昨年11月の積極的勧奨決定の動きを受けて、12月28日、厚労省は自治体宛てにHPVワクチン接種を進めるにあたっての相談支援体制・医療体制等の維持確保についてという通知をだしました。その3ページ目には相談支援体制・医療体制が十分整備される前に定期接種が性急に行われることがないようにという記載があり、全体をとおして相談支援体制を整えてから実情に応じて勧奨を行うようにということが示されています。この相談支援体制の中には学校との連携、学校が、被害者が出た場合の学習面での相談支援を行うことも示されています。

相談支援体制については学校にも副反応被害の情報を共有し、協力体制をつくることが求められています。

  • そこで、学校と連携した相談支援体制についてどのように考えているのか伺います。
  • 合わせて、体制が整うまでは早急に接種勧奨をすべきではないと考えますが、区の考えをうかがいます。
  • 昨年度からワクチンの接種対象者への個別の情報提供が始まり、その後接種者数はどのように変化したのか。実績を伺います。
  • 合わせて副反応報告についてはどうなっているのか、報告数と重篤とされた報告数についてうかがいます。
  • 積極的勧奨が控えられている間にワクチンを受ける機会を逃した人を対象にキャッチアップ接種の対応がとられることになりました。その対象者への情報提供は具体的にどのようになるのかうかがいます。
  • HPV感染症は性感染症で、性交渉前に打たなければ効果がないとされています。そのことは情報提供されるべきと考えますが、区の見解をうかがいます。
  • さて、子宮頸がんはたとえワクチンがきいたとしても、ハイリスクと言われる15種類の型うちの2種類、または4種類にしか対応していないもので、その対応範囲は50%から70%とされています。それに対して検診はがんになる前の高度異形成も見つけることができ、早期に発見すれば非常に予後がよく生存率は高くなります。100%検診で防ぐことができますので、検診受診率を高めることの方が重要です。そこで、検診受診率について、直近3年間の数字をうかがいます。

今後も子宮頸がんを予防するにはワクチンよりも検診がもっとも有効であることを周知徹底していただくよう要望します。また検診率を高めるためには若い女性でも受けやすいような検診方法を確立することが何より必要であることを、この機会に述べておきます。

  • 2013年3月、区議会で、区内で被害が出た事実を明らかにした時に、区は独自の救済制度をつくって被害者の救済をすると発表しました。その後どのように救済が行われたのか。また、この制度は、現在はどのようになっているのか確認します。

先日の記者会見にたった被害者は、積極勧奨が再開され、自分と同じような被害者を出したくないという強い気持ちはあるが、コロナで十分な治療が受けられなくなっていることに加えて、接種が始まり被害者が増えるともっと治療が受けられなくなるのは困るという気持ちも正直あると言われたことに、どれだけ治療が困難なことかと胸が痛みました。被害を増やさないための対応を強く求め、次の質問に移ります。

〇新型コロナワクチンを子どもに接種することの疑問について、質問いたします。

新型コロナウイルス感染症が大きな問題だとされ様々な対応がとられています。現場でご苦労されている医療従事者はじめ、エッセンシャルワーカーの方々に敬意と感謝を申し上げます。

そして、感染により苦しんでいる方々の一日も早い回復をお祈り申し上げます。

現在、新型コロナ感染拡大を抑えるために国や自治体が3回目のワクチン接種を進め、世界では4回目接種がすでに行われ、新たに促す国があることが報じられています。私自身は、新型コロナワクチン接種については多くの疑問がぬぐえないでいます。80%の国民がワクチンを受けたにも関わらず、感染者の50%以上はワクチン接種者ということです。それで本当にワクチンは効果があったのかと思うのですが、国は納得できる説明をせず3回目接種を進めるばかりという印象をもっています。

今年1月21日に開催された厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会の資料によると新型コロナワクチン接種後の死亡報告が1444人とされています。大変多い数字だと思います。これは国民が知るべき事実だと思いますが、大手メディアからはこのような情報が上がってきません。21年10月には13歳の中学生がワクチン接種の4時間後に心肺停止で亡くなったことに大きな衝撃を受けましたが、大手メディアでは一切報道されませんでした。

またPCR検査陽性者の数がイコール感染者数として取り上げられ、死者数とともに報道されることには大きな疑問を感じていることから、PCR検査のあり方についてもいくつか質問にとりあげます。

私は3月には5歳から11歳のワクチン接種が始まることにたいへん危機感を持っています。先の補正予算14号で5歳から11歳までのワクチン接種会場の経費が計上されましたが、私としてはその年代の子どもにワクチンを接種することについてはとうてい賛成できないことから退席させていただきました。その年代の接種については2月10日に行われた厚労省の専門部会において努力義務としないことが決まったことは当然のことと受け止めています。区は努力義務とならなかったことを受け、それに沿った対応をとる必要があると考えるものです。

5歳から11歳の子どもにワクチン接種が始まる前に杉並区における感染者の状況及びワクチンによる副反応の状況を確認したい、また区は事実を公開し、区民が子どもに接種する前に正しい情報を得て考えられるようにしてほしいと切に願って以下質問いたします。

まずは2022年1月21日に行われた厚労省のワクチン副反応検討部会の資料より日本全体の副反応報告について見てみると、2022年1月2日までの数字は2億84万7千188回接種され、副反応報告は30,714人、重篤が6,370人となっています。

一方、これまでの日本国内でのコロナ感染について、健康な19歳までの子どもが死亡した例はありません。10歳未満は0、10代では4人が死亡していますが、3人は基礎疾患があった方、そして一人は交通事故で死亡した後検査で陽性だった方ということです。一方新型コロナワクチン接種後に死亡した子どもや若者の数は10代が5人、20代が27人です。新型コロナウイルス感染で子どもや若者はほとんどが軽症といわれていますが、ワクチンによる副反応の重篤が、10代は387人、20代は713人となっています。20代までで重篤とされた症状を見てみると、歩行障害、意識障害、呼吸障害、排尿障害、小腸炎、視力低下、複合性局所疼痛症候群、脳炎などが未回復、後遺症とされているもの等があり大変さが想像されます。資料からこの数字をひろいあげながら、この1,100名の若い人たちの、その後の長い人生がどうなるのかと思うと、今すぐ中止すべきではないかと思わずにいられません。この数字を区は把握しどのように考えるのか、見解をお聞きします。

  • 大阪大学の荒瀬尚教授の研究グループが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者由来の抗体を解析した結果、新型コロナに感染すると、感染を防御する中和抗体のほか、感染性を高める抗体(感染増強抗体)も産生されていることを発見したことを発表しています。多くの専門家が新型コロナワクチン接種によっても感染増強抗体ができ、特に変異株の感染では重症化することに警鐘を鳴らしています。ほとんど重症化が見られない子どもにワクチンを打つことで、かえって重症化することがあってはならないと考えますが、区の見解をうかがいます。
  • これだけの死亡者が出ていますが、ファイザー製ワクチンの全年代の死亡者1372人の因果関係の項目を見ると、因果関係が否定できないものはゼロ、因果関係が認められないもの9人、情報不足によりワクチンとの因果関係が評価できないものが1363人となっています。厚労省の報告では接種後2日目に亡くなっている人が最多で大部分が2日以内に亡くなっているのに因果関係は評価不能というのは普通に考えると理解できません。医療関係者に評価不能とされている理由を質問すると、特例承認されて接種が行われているが、まだ治験中なので因果関係を証明できる人はいないということです。厚労省の疾病・障害認定審査会感染症・予防接種審査分科会の審議結果を見ると新型コロナワクチン接種後で医療費の救済が認定されているのはわずか115人で死亡した方の救済はゼロです。認定された疾病名はアナフィラキシーか急性アレルギー反応のみです。これだけ心筋炎が多いと言われているにも関わらず、それは一切認定されていません。区はこの結果をどのように考えるか、うかがいます。
  • 新型コロナワクチンは特例承認されている状態で、ファイザー製ワクチンの治験が終わるのは2023年5月です。

治験段階というのはデータを集める時期のことで、つまり今は人体実験中ということだと医療関係者からうかがいました。現在1444人の死亡が報告されても、接種が止まらないのもそのためでしょうか。そのような認識で良いのか、区の見解をうかがいます。

  • 1月26日に開催された厚生科学審議会、予防接種・ワクチン分科会で参考人として参加した森内博之長崎大学病院小児科教授が出された資料の中に、すでに5歳から11歳の接種が始まっているアメリカ疾病予防管理センターCDCの資料が提示されました。それによると、5歳から11歳の子どもに870万回接種が行われ、新型コロナワクチン接種後の副反応のデータを送信できるシステムV-safeに副反応として届けられたものを見てみると、一回目接種後に42,504人、2回目接種後に29,899人から報告がありました。その症状の内訳を見ると、正常な日常生活に支障をきたしたのが1回目で4%の2295人、2回目では7.4%にあたる2,212人、合計4.507人となっています。医療を必要としたのが1回目1,2%、510人、2回目1.1%の328人、合計838人です。入院が必要になったのは1回目、0,02%で8人、2回目は0,02%の6人で合計14人に上ります。日本の5歳から11歳までの人数は724万3千人なので、仮にその6割が2回接種したとすると、接種回数は約870万回になるので、参考になる数字だと考えます。これらの被害は新型コロナ感染による症状に比べて出現率が高く、重大な問題と考えますが、区の見解をうかがいます

ここからは区内の状況について質問いたします。

  • 区内のコロナウイルス感染による重症者は、9歳以下、10代、20代はゼロ、30代が1名となっています。30代の1名の方は回復されたのでしょうか、うかがいます。
  • 以前に文教委員会で教育委員会から小中学校におけるコロナ感染者数、そのうち無症状、軽症、中等症の人数を出していただきました。今年に入ってからの状況がどうだったのか確認します。
  • 2021年10月の決算特別委員会で杉並区内の副反応報告について伺ったところ、入院や障害が残る恐れがあるなどとした症状の重い報告が14例、男性5人、女性9人、死亡例が8例、男性2人、女性6人ということで、その数の多さに大変驚きました。現在の報告は重篤何人、死亡何人となっているのか。また重篤、死亡、それぞれの年齢について答えられる範囲でうかがいます。
  • 区のホームページでは、保健予防課と教育委員会からの保護者に宛てたお知らせが見られます。お知らせの一番最初に、この予防接種は任意であることが強調されていて、会派として要望してきたことが反映されていると認識しています。副反応についての記述は軽いと思われるもののみであり、詳しくは「厚生労働省副反応Q&A」で検索するようにとされています。厚労省の該当ページの動画やQ&Aを確認しましたが、こちらもワクチンの効果は高いとされ、発熱、腕の赤みやかゆみ、などの説明がされているだけで、死亡者の数や重篤な副反応報告については、一切説明がありません。厚労省の副反応検討部会で提出されている資料から、現在起こっている深刻な副反応の状況を知らせることも必要だと考えますが、いかがでしょうか。また区内の副反応の状況も今後接種を考える参考になるので、ぜひホームページで公表していただきたいと思いますが、区の見解をうかがいます。
  • 区からのお知らせの中に「接種後、重い障害等が残った場合の保障制度などはありますか」という問いに対して「予防接種法に基づく予防接種を受けた方に健康被害が生じた場合、申請によりその健康被害が接種を受けたことによるものであると厚生労働大臣が認定したときは給付があります」と書かれています。しかし、これは問題ではないでしょうか。先に述べた通り、死亡者が1444人も出ているにも関わらず、因果関係を認められたものはなく、一人も救済されていません。副反応報告は30,714人、重篤が6,370人、救済のための認定をうけた症状はアナフィラキシーと急性アレルギー反応のみの115人で副反応報告があった人のうちの約0.4%、ということがわかる記載にしていただきたいと思いますが、区の見解をうかがいます。
  • ここでPCR検査についても質問したいと思います。

私はある大学教授の勉強会でPCR検査とは、ウイルスのゲノムの一部分を確かめているもの。また、そのゲノムの一部分を数十億倍に増幅し、そのものが存在するかを確かめる検査であり、PCR検査で陽性が出たからといって、それが必ずしも感染しているかどうかは分からないということ。PCR検査の本来の用途は、症状がある患者がそのウイルスを持っているかどうかを確かめるものとの話を聞きました。そこで2020年10月の決算特別委員会でそのことを確認すると、保健予防課長は新型コロナウイルスにおけるPCR検査につきましては、ウイルスの遺伝子が存在するということは言えるものの、そのウイルスに感染性があるか、またその被験者の方にほかの人への感染性があるかということは分からない、と答弁しました。

国会でも2020年12月、参議院議員やながせ裕文氏の「PCR検査で陽性の人に感染力があるとは言えないということでしょうか」との質問に厚労省の佐藤総括審議官が「PCR検査の陽性判定はウイルスの感染性の証明ではない」と答えています。私自身も厚労省に確認したく、同じ質問をすると、同様の答えがありました。そして、陽性者と感染者は違うこと、発症して初めて感染が成立すると答えました。これはその通りだと考えてよろしいか、区の見解を確認します。

  • PCR検査の陽性者の中には無症状で他人に感染させない人が大量に含まれており、感染者とは違うということであれば、PCR陽性者を感染者数として毎日発表しているのは、過剰に国民を恐れさせていると指摘するものです。医療現場がひっ迫する中、また、濃厚接触者とされた無症状のPCR検査陽性者が何日も仕事を休み外出できなくなっていること、PCR検査結果が陰性であっても同様の対応であることが無用に社会活動を滞らせているものと考えますが、区の見解を伺います。
  • オミクロン株がピークアウトした沖縄県で専門家会議の座長の琉球大学教授藤田次郎氏のインタビューが報道されていました。それによるとインフルエンザの致死率は0.1%、オミクロン株の致死率は0.02%。沖縄では残念ながら9人が亡くなられたが、そのうちの7名は90歳以上の方。基礎疾患のある方も重症化しやすいとのことです。インフルエンザより致死率が低いのであれば、検査方法をインフルエンザと同程度の、症状のある人への抗原検査と抗体検査のみに改めるなど、現実にそくした対策をとることが求められると考えますが、区の見解をうかがいます。

私はHPVワクチン薬害被害者に深くかかわり、人生を奪われた少女たちを見てきました。彼女たちは持病があったわけでも何か治療のために薬を飲んだわけでもなく、もともとは健康な子どもたちでした。コロナワクチンの副反応被害でも同じことが言えると思います。将来が長く健康な子どもや若者たちに被害を出さないために、今後もこの問題に取り組んでいくことを申し上げ、一般質問を終わります。

再質問

5-2先ほど述べた通り、2月10日に行われた厚労省の専門部会では5歳から11歳までの子どもへのワクチン接種は努力義務とはしないとされました。この結果を受けて区はそれに沿ったお知らせを保護者に送ることになると思います。ワクチン接種を努力義務としないことがはっきりわかるお知らせとすることを求めますがいかがでしょうか。またその他の年代に入れたクーポン券や予診票の同封もすべきではないと考えますが、区の見解を伺います。

 

 

第1回定例会一般質問と答弁 2021.2.15そね文子

Q1-1~3)〇HPVワクチンの薬害について二度と同じ被害を起こしたくないという強い思いを保健所も変わらずに持ち続けているか改めて確認する。

〇HPVワクチンの成分は変わらず薬害の治療法がかくりつしたわけではない。積極的勧奨が中止されているのは異例の措置であり、その理由が安全性の問題であることは何ら変わらないことを区はどのように認識しているか伺う。

〇厚労省の10月の通知と改訂版のリーフレットが届いたのと同時期に、裁判を戦っている原告団及び弁護団から各自治体にHPVワクチンに関する要望書が送られたと聞くが、区はそれを受け取っているか確認する。

A1-1~3保健所長)HPVワクチンの薬害の思いについてですが、区もワクチンによる健康被害が起こってほしくないという思いは常に持ち続けています。積極的な接種勧奨が差し控えられていることについては、国の審議会でワクチンの安全性等の検討が長年続けられており、積極的な接種勧奨を再開するまでの結論が出ていない状況だと認識している。また、区は要望書を受け取っている。

 

Q1-4~8)〇健康被害にあった方が区内にいることから慎重に対応するとし、今年度は出さないと答えていた区が、1か月後にはHPVワクチンの情報提供のはがきを出したのはどのような経緯か伺う

〇区がリーフレットではなくはがきで情報提供したことは適切だと考えるが、はがきを選んだ理由を伺う。

〇今後も国のこのリーフレットを送付しての情報提供は行わないように求めるが、区の見解を問う。

〇武蔵野市では対象者にはがきで情報提供を行い、積極的勧奨は行っていないことが明記された市のホームページのQRコードのみを記載し、それを見た後に厚労省のホームページのリンクも見られるようにしている。区も同じ対応を取るべきと考えるが見解を問う。

〇はがきはひとりに1回以上出すべきではない。今後の対応を区はどのように考えているか伺う。

A1-4~8保健所長)対象者に対し情報提供を今年度行った経緯ですが、令和2年10月に国からワクチン接種対象者に個別に情報提供するように通知文が出た後、令和2年12月の医療行政連絡会において、杉並医師会から区に対してHPVワクチンの個別情報提供を一刻も早く行うよう要望がありました。また、近隣自治体も年度内に個別情報提供を行う状況を踏まえ、区は急遽令和2年12月中に接種対象である小学6年生から高校1年生に相当する者へはがきで情報提供を行った次第だ。はがきにした理由は、ひとつは経費面で、二つ目は周知内容があくまでも制度周知でありはがきの紙面で十分と判断したためだ。

国が作成したリーフレットについては、現在も積極的な接種勧奨が差し控えられている旨の記載がわかりにくい印象があり使用していない。今後も区民からの相談や予診票を渡す際には、区が独自に作成したリーフレットを用いて、副反応が生じる可能性を含め丁寧に説明していく。12月に区が送付したはがきは近隣区市を参考にし、区民が多くの情報を得られるように区と国のホームページのQRコードを記載した。今後ははがきの紙面を研究し、次年度については新たに対象となる新小学6年生と転入者に送付する予定である。

 

第1回定例会一般質問と答弁 2021.2.15そね文子

Q1-1~3)〇HPVワクチンの薬害について二度と同じ被害を起こしたくないという強い思いを保健所も変わらずに持ち続けているか改めて確認する。

〇HPVワクチンの成分は変わらず薬害の治療法がかくりつしたわけではない。積極的勧奨が中止されているのは異例の措置であり、その理由が安全性の問題であることは何ら変わらないことを区はどのように認識しているか伺う。

〇厚労省の10月の通知と改訂版のリーフレットが届いたのと同時期に、裁判を戦っている原告団及び弁護団から各自治体にHPVワクチンに関する要望書が送られたと聞くが、区はそれを受け取っているか確認する。

A1-1~3保健所長)HPVワクチンの薬害の思いについてですが、区もワクチンによる健康被害が起こってほしくないという思いは常に持ち続けています。積極的な接種勧奨が差し控えられていることについては、国の審議会でワクチンの安全性等の検討が長年続けられており、積極的な接種勧奨を再開するまでの結論が出ていない状況だと認識している。また、区は要望書を受け取っている。

 

Q1-4~8)〇健康被害にあった方が区内にいることから慎重に対応するとし、今年度は出さないと答えていた区が、1か月後にはHPVワクチンの情報提供のはがきを出したのはどのような経緯か伺う

〇区がリーフレットではなくはがきで情報提供したことは適切だと考えるが、はがきを選んだ理由を伺う。

〇今後も国のこのリーフレットを送付しての情報提供は行わないように求めるが、区の見解を問う。

〇武蔵野市では対象者にはがきで情報提供を行い、積極的勧奨は行っていないことが明記された市のホームページのQRコードのみを記載し、それを見た後に厚労省のホームページのリンクも見られるようにしている。区も同じ対応を取るべきと考えるが見解を問う。

〇はがきはひとりに1回以上出すべきではない。今後の対応を区はどのように考えているか伺う。

A1-4~8保健所長)対象者に対し情報提供を今年度行った経緯ですが、令和2年10月に国からワクチン接種対象者に個別に情報提供するように通知文が出た後、令和2年12月の医療行政連絡会において、杉並医師会から区に対してHPVワクチンの個別情報提供を一刻も早く行うよう要望がありました。また、近隣自治体も年度内に個別情報提供を行う状況を踏まえ、区は急遽令和2年12月中に接種対象である小学6年生から高校1年生に相当する者へはがきで情報提供を行った次第だ。はがきにした理由は、ひとつは経費面で、二つ目は周知内容があくまでも制度周知でありはがきの紙面で十分と判断したためだ。

国が作成したリーフレットについては、現在も積極的な接種勧奨が差し控えられている旨の記載がわかりにくい印象があり使用していない。今後も区民からの相談や予診票を渡す際には、区が独自に作成したリーフレットを用いて、副反応が生じる可能性を含め丁寧に説明していく。12月に区が送付したはがきは近隣区市を参考にし、区民が多くの情報を得られるように区と国のホームページのQRコードを記載した。今後ははがきの紙面を研究し、次年度については新たに対象となる新小学6年生と転入者に送付する予定である。

 

 

第1回定例会一般質問 2021.2.15

杉並区のHPVワクチンに関する情報提供のあり方について

私はHPVクチンの重篤な副反応で多岐にわたる症状に苦しんでいるという女子中学生の保護者から連絡を受け、2013年の予算特別委員会でこの問題を取り上げました。その中学生は2011年10月12歳のときに区内医療機関でワクチン接種を受け、直後から具合が悪くなり、翌日から入院となりその間に様々な症状が出て10日目にはほぼ寝たきりの状態になりました。診察した医師からもHPVワクチン接種による副反応被害であることの診断書を得ていました。保護者からの話を聞き、また医療機関から厚労省への報告の症状の多さを見て信じられない思いでした。報告には、多すぎるので全部は読みませんが、四肢痛、末梢性浮腫、感覚鈍麻、注射による四肢の運動低下、発熱、皮膚変色、疼痛、注射部位刺激感、ワクチンを接種した腕の広汎性腫脹、歩行障害、多汗症、注射部位疼痛、注射部位腫脹、異痛症、浮腫、複視、等とありました。自分の名前がわからなくなるほどの記憶障害、1から10まで数えられない計算障害、手足が勝手に激しく動く不随意運動などの状況にあることをうかがい、それを議会で共有しました。その時のやり取りが新聞などのメディアで報道され、ワクチンによる副反応の被害が初めて明らかになりました。そして全国から同じ症状に苦しむ人の声が届き、2013年3月25日、全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会が立ち上がることとなり、杉並の被害者家族が代表になりました。ですから、私にとっても杉並区にとってもHPVワクチンの薬害というものは特別にリアルで2度と同じ被害を起こしたくないという強い思いを共有しているものと認識しています。当時の区の担当者は人事異動によって変わっていますが、保健所は変わらずにこの認識を持ち続けているのか、改めて確認します。

その後2013年4月にHPVワクチンは国の法定接種になりましたが、被害が相次いでいる事実を受け、2か月後の6月14日厚労省は積極的な勧奨を差し控えることを勧告する通知を出しました。そこからHPVワクチンの接種率は1%未満となり、副反応の被害もほとんど出なくなりました。しかし国が緊急対策促進事業として接種を行った2010年から2013年3月まで、そして定期接種になってから積極的な勧奨を控える通知が出されるまでの2か月間の間に接種を受けた(子ども)少女たちには多くの副反応被害が出ました。現在、その被害者130名以上が原告となって国と製薬会社を相手に全国で裁判が行われているのが現状です。私はこの裁判の支援にも関わり、できる限り裁判の傍聴にも行っています。

HPVワクチンの被害は日本だけでなく全世界に広がっており、10か国以上でも裁判が行われている状況があります。そんな中、日本では産婦人科医会や医師会を中心に国会議員などがHPVワクチンの積極的な勧奨再開を強く要請する動きがあります。

そのような動きに押され、昨年7月17日、厚労省は厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会及び薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の合同会議にHPVワクチンのリーフレットの改訂案を出し、10月に改訂版のリーフレットが発行されました。私はこの改訂版リーフレットには問題があると考えます。理由は後ほど述べます。

そしてこのリーフレットと共に2020年10月厚労省は「ヒトパピローマウイルス感染症に係る定期接種の対象者等への周知に関する具体的な対応等について」との通知を出し、対象者に個別に情報提供することを各自治体に求めました。

しかし、HPVワクチンの成分が変わったわけではなく、また薬害の治療法が確立したということもありません。このまま接種を勧め、接種者が増えたら同じ被害が出る可能性があります。ここで確認しますが、積極的勧奨が中止されているのは異例の措置であり、その理由が安全性の問題であることは何ら変わらないということを区はどのように認識しているかうかがいます。

厚労省の10月の通知でも、積極的な勧奨にならないように情報提供することを求める内容になっています。この通知と改訂版のリーフレットが届いたのと同時期に、HPVワクチン薬害の裁判を戦っている原告団及び弁護団から各自治体にHPVワクチンに関する要請書が送られたと聞いていますが、区はそれを受け取っているでしょうか。確認します。

この厚労省通知が出されたことを受け、私は担当課長に区がどのように対応するか確認したところ、課長からは「区には重篤な副反応の被害者が出ている状況で慎重に行う。通知ははがきで来年度から出す。今年度は出さない」とお答えいただきました。その話を聞いて私はとりあえず安堵し、あえて議会での質問をする必要はないと判断しました。ところが、2月1日、中学生の保護者である区民から、こんなはがきが来ましたと「HPV感染症予防ワクチン接種のお知らせ」と題するはがきを渡されました。こういうはがきが来たら、副反応のことを知らない保護者は娘に打たせる人もいると思うと心配されていました。そのはがきは12月付で出されたものでした。被害が出ることを懸念し、今年度は出さないと答えていた区が、1か月後にはがきを出したのはどのような経緯からなのかお聞きします。

ここで先ほど述べたHPVワクチン薬害訴訟全国原告団及び弁護団から杉並区にも送られた要請書の内容を紹介します。

まずは薬害被害者の状況を一部抜粋して紹介します。「積極的勧奨差し控えの理由となったHPVワクチンの副反応は、頭痛、全身疼痛(光過敏、音過敏、嗅覚障害)、激しい生理痛、脱力、筋力低下、不随意運動、歩行障害、重度の倦怠感、集中力低下、学習障害、記憶障害、発熱、月経異常、過呼吸、睡眠障害など、全身に及ぶ多様な副反応が一人の患者に重層的に表れるという特徴を有しています。その治療法は確立しておらず、被害者は現在も副反応症状に苦しんでいます。副反応として専門的な治療を行っている医療機関は全国でもわずかであり、そうした医療機関への遠距離入通院は患者に重い負担となっていますし、そもそも適切な治療を受けられていない人も少なくありません。副反応は日常生活や就学に重大な影響を及ぼし、10代前半で接種した被害者の女性たちは通信制高校への転校、進学や将来の目標を断念といった深刻な被害を受けてきました。そして社会に出る年齢となった今、副反応は就労の重大な障害となっています。このような被害者の存在を決して忘れてはなりません。

次にHPVワクチンの危険性についての指摘です。

副作用被害救済制度における、障害年金の対象となる障害、それは日常生活が著しく制限される程度の障害とされますが、その認定数が、他の定期接種ワクチンの死亡及び障害の認定数の約15倍となっており、さらに定期接種になってからの数字で比較するとその頻度は31,8倍になっています。これは厚労省が出した数字をもとに計算されたものです。このデータからも副反応の重篤性とHPVワクチンの高い気危険性は明らかです。このような危険性が新しいリーフレットからは全く読み取れないことが懸念されています。

要請書からの引用はここまでです。

私も接種から何年も経過しているのに、母親が押す車いすに乗った被害者が「お母さんがいなくなって、ずっと探しています」と言っているのを見て胸がつぶれる思いでした。

ここで質問します。区がリーフレットではなくはがきで情報提供をしたのは適切だと考えますが、はがきを選んだ理由をうかがいます。

このリーフレットは先ほど述べたような深刻な副反応の危険性が伝わるものになっていません。また改定前のリーフレットでは明記されていた、国が積極勧奨を差し控えている事実も記載されていません。協力医療機関が設置されているとありますが、実際には被害者が安心して受信できる医療機関は乏しく、差別的な対応をされる例があとをたちません。補償についても、国が副反応の因果関係を明確に認めていない中で、十分に受けられないケースが多く存在しているのが現状です。一方でリーフレットには子宮頸がんの危険性やHPVワクチンの効果が強調されており、積極的に接種を勧める内容となっていると言わざるをえません。このリーフレットが個別送付されるようなことがあれば接種者が増え、新たな副反応被害者が生み出されることが懸念されます。

今後もこのリーフレットを送付しての情報提供は行わないように求めますが区の見解をうかがいます。

次に区内で送付されたはがきに記載された内容についてうかがいます。「HPV感染症~子宮頸がんとHPVワクチン~に関する情報を各HPでご案内しています」との説明があり厚労省のHPと杉並区のHPのQRコードがついています。それぞれのQRコードを読み込むと、杉並区は「HPV(ヒトパピローマウイルス)感染症予防ワクチンと子宮頸がん」というページが出てきます。

杉並区の方では一番初めに平成25年度厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会でHPVワクチンの定期接種を積極的に勧奨すべきではないとされた事実が述べられています。スクロールしていくと厚労省のヒトパピローマウイルス感染症 子宮けいがんとHPVワクチンのページのリンクが出てきます。こちらは適切な情報提供だと思います。

一方厚生労働省HPのQRコードを開くと、ヒトパピローマウイルス感染症の説明として以下の文章が出てきます。「ヒトパピローマウイルス(HPV)は、性経験のある女性であれば50%以上が生涯で一度は感染するとされている一般的なウイルスです。子宮頸がんを始め、肛門がん、膣がんなどのがんや尖圭コンジローマ等多くの病気の発生に関わっています。特に、近年若い女性の子宮頸がん罹患が増えています。」そして「HPV感染症を防ぐワクチン(HPVワクチン)は、小学校6年~高校1年相当の女子を対象に、定期接種が行われています。」との文章があり、リーフレットが見られるようになっています。このページにはHPVワクチンの接種勧奨が中止されているとの記載はどこにも出てきません。そしてリーフレットにもその記載はありません。厚労省HPだけを見ると、この接種が現在安全性の問題で積極的におすすめされていないことを知ることができません。これは危険なことだと思います。武蔵野市では対象者にはがきで情報提供を行っていますが、ワクチン接種の積極的勧奨は行っていないことが明記されている市HPのQRコードのみを記載し、それを見た後に厚労省のHPのリンクも見られるようにしています。区も同じ対応をとるべきと考えますが、見解をうかがいます。

今回区はお知らせを対象となる小学6年生から高校1年生の女子に送りました。効果は証明されていない、そして重篤な副反応の頻度が極めて高いワクチンの個別の情報提供は本来行わないのが最善だと考えます。しかしはがきを出すなら、厚労省は積極勧奨にならないように情報提供することを求めているのですから、一人に一回以上出すべきではありません。今後の対応を区はどのように考えているかうかがいます。

区内の被害者は、一番楽しいはずのティーンエイジャー時期に普通の生活を送れず、治療に多くの時間を費やしてきました。副反応を診察できる医療機関に行きつくまでにいくつもの病院をたらいまわしにされ、医師からの精神的なものだとの言葉に傷ついてきました。保護者が被害者の置かれた状況を訴えると、ワクチンを進めようとする(医師)人たちから反ワクチン派として攻撃を受けることも続いています。しかし、当時、被害者や保護者は区を信頼し、そのお知らせに従ってワクチンを接種したのですから、反ワクチン派であるはずがありません。接種から10年がたち、当時中学生だった女性は通信制の大学を卒業されましたが、まだ体調に波があるため就職はできない状況です。このような被害があったことを、区は決して忘れずに今後も真摯に対応することを求め、一般質問を終わります。

第1回定例会一般質問と答弁 そね文子 2019.2.15

「区立施設の省エネ性能を高め、自然の恵みを活かす取り組みについて」

Q1..施設の長寿命化を図り長期的に活用していくために、建物の効率的なエネルギー性能の優先順位の考え方を参考に、断熱・気密性を重視し、エアコン台数や稼働時間を最小限に抑えることで効果的なトータルコストの施設建設を進める必要がある。区の見解を問う。

A1.断熱性・気密性の高い施設を建設することは、空調効率化の向上によるランニングコストの抑制に加え、CO2の削減にもつながり重要なことと認識している。現在改築中の学校や設計中の区立施設においても断熱性のあるサッシを採用するなど、断熱性・気密性を考慮した施設づくりを進めている。しかし、断熱性・気密性を過度に追い求めればイニシャルコストが増大することになり、結果的にトータルコストが高くなる可能性がある。施設の用途や規模、使い方に応じて、断熱性のある資材や空調設備等を適切に採用し省エネ化を図ることが重要である。今後の施設建設においてはイニシャルコストとランニングコストのバランスを図りながらトータルコストを抑える効率的な施設づくりに取り組んでいく。

Q2.太陽光発電は都会で唯一発電できる仕組みであり、災害時の電源確保にもつながる。普及啓発の意味でも公共施設に太陽光発電を設置していくべきと考える。その際には発電状況などを見える化し、区民に再生エネルギーの取り組み状況が学べるようにしてほしいが区の見解を問う。

A2.太陽光発電の設置には維持管理も含めたコストや設置場所の確保など、区の全施設に設置することには課題がある。昨年竣工したウェルファーム杉並や現在建設中の桃井第二小学校や高円寺学園には設置する予定である。太陽光の発電状況については当該施設のロビーや昇降口などにモニターを設置し、発電量等をグラフや画像で分かりやすく表示することで見える化に取り組んでいる。

Q3.阿佐谷地域区民センター等複合施設については、光熱水費を抑制するため、建物の省エネ性能を高める視点をもって設計を見直すべきと考える。具体的には断熱・気密性を高めること、樹脂サッシの採用や庇やルーバーの設置を検討すべきと考えるが区の見解を問う。

A3.阿佐谷地域区民センター等複合施設は現在工事に向けて実施設計を進めているが、構造が鉄筋コンクリート造に加えて複層ガラスや部分的に二重サッシを採用するなど、断熱性・気密性を高めることを考慮しているが、引き続き庇等の設置も含め、コストや効果のバランスを考慮したうえで適切な省エネ対策に努める。

Q4.東京都は公立学校の体育館の空調設備と断熱改修に補助金を出すと聞いているが具体的な内容はどのようなものか。

A4. 都が新たに創設した補助制度では、国の上限額に都が独自に補助を上乗せし、その分を都負担、国庫補助相当分についても都が追加補助するものだ。この補助金は空調設備設置及び関連工事を対象としている。関連工事の具体的めメニューは示されていないが、断熱改修は関連工事として認められると考えている。

Q5.2012年にエコスクール事業検討委員会がこれまでの取り組みと今後のエコスクールのあり方を報告書としてまとめたが、これが杉並版エコスクールの考え方と方向性を示すものと考えてよいか。エコスクールの考え方や目的に賛同し、進めてほしいと考える。取り組みの進捗状況と報告書を継続的に出すなどして積極的に取り組んでほしいがいかがか。エコスクールメニューの中で現在設置が行われなくなった設備があるが、以前設置されたクールヒートトレンチやナイトパージなどは最適な形で使われているのか。現在ある絶日は最大限に活用して省エネに努めてほしいが、現状を確認したい。エコスクールメニューの中に雨水利用が入っていないのはなぜか。メニューに加えるべきと考える。また太陽光温水器は学校給食室の給湯において効率がよく安価で有効な設備であるがメニューにないのはなぜか。メニューに加えてほしいが見解を問う。

A5.杉並区版エコスクールが平成13年度に開始し、事業の目的や方針を示すものとしては平成24年度の報告書が最新のものである。取り組みの進捗状況については、屋上等の緑化、バルコニーによる日射遮へい、断熱・複層ガラスの導入、太陽光パネルの設置等、近年の改築校については着実にエコスクール化を進めてきた。今後も費用対効果を検証しながら改築を機にさらに推進していく。クールヒートトレンチ等の設備の有効活用については、空調設備の負荷軽減などに一定の効果が得られるものについては適切な維持管理のもとに運用している。エコスクールメニューに関して、雨水利用はメニューにはないが平成2年度から渇水対策として改築校に導入しており今後も継続していく。太陽熱温水器の給食室での利用については、短時間に大量の給湯を必要とすることから、太陽熱のみで賄うことができず、通常の給湯設備も併せて必要となり費用対効果の観点からエコスールメニューになじまないものと考える。

Q6.小中学校では教室の窓や扉を開けたままエアコンを使うなど、省エネにならない使用を目にする。体育館にエアコンを設置した後の運用については温暖化防止のための配慮が必要と考えるが見解を問う。

A6.エアコンの運用にあたっては、日々の温湿度などの気候条件に応じた利用を心掛け、必要最低限の使用に努めるとともに、随時カーテンの使用、出入り口や窓の開閉など適切な使い方について学校と協議の上、新たなエアコン運用手続きを定めるなど、省エネに配慮した運用に取り組んでいく。

第1回定例会一般質問と答弁 奥田雅子2019.2.15

【地域コミュニティ施設とその運営について】

Q1..直営の敬老会館時代から現在のゆうゆう館事業への経過を、区としてどのように評価しているか。

A1..敬老会館は高齢者の「憩いの場」として主にいきいきクラブなどが利用しており、貸施設的な運営で魅力ある事業メニューが少ないことから利用者の固定化が進んでいた。このためあり方の見直しを行い、「いきがい学びの場」「ふれあい交流の場」「健康づくりの場」の役割・機能を加え、NPO法人等との協働による施設管理・運営とするとともに、名称もゆうゆう館とした。その結果新たな3つの機能にふさわしく、多様な価値観を持つ高齢者のニーズにも応える講座やイベントが協働事業として展開され、利用者の拡充につながっている。また協働事業と受付業務等の一体的運営により、事業参加者が自主グループを作ったり、事業のスタッフとして活躍するなど高齢者の活動の拡充が図られ、まさに生涯現役社会の地域拠点となっている。さらに運営法人が地元の町会・自治会・商店会・民生委員やケア24などとの関係を構築することで、地域の資源として活用される施設にもなっている。

一方で、高齢者施設という性格上、夜間を含めた夜間の施設の有効利用、世代を超えた交流の拡充の点で限界があることが課題である。

Q2.そもそも指定管理者制度とはどのような制度なのか、また指定管理者制度を導入した背景について伺う。杉並区が最初に指定管理者制度を導入したのはいつ、どのような施設であったのか、またどのようなりゆうがあったのか伺う。その後、指定管理者制度を少しずつ導入しているようだが、現在の状況について、導入している公の施設の種類と数を伺う。

A2.指定管理者制度は公共施設や行政サービスへの民間参入を一層促進するという観点から、公の施設の管理・運営の門戸を民間事業者、NPO法人等の団体にも開き、民間経営のノウハウを生かした効率的な運営と住民サービスの向上を図るもの。区では平成16年4月から区立高井戸保育園に初めて指定管理者制度を導入した。その理由として、平成14年に区がまとめた今後の保育サービスのあり方の中で、公設民営化等民間活用の提起があり、これにより高井戸保育園改築後の管理について法人等への委託を検討していたことがあげられる。

この後、平成16年に杉並区指定管理者制度導入指針を策定し、他の施設への導入の可否を総合的な視点で検討してきた結果、現在保育園、体育施設、集会施設、図書館など全29施設で指定管理者制度を導入している。

Q3.地域コミュニティ施設の管理運営方法をどのように考えているか。

A3.施設の管理運営については指定管理者または業務委託を想定しているが、施設によって単独で整備する場合と、他の施設との併合や複合施設として整備する場合があるほか、施設の規模、実施する事業を踏まえ、適切な管理運営方法を検討している。

またゆうゆう館の機能を継承するため、これまで運営を担ってきたNPO法人等が引き続き運営に参入できるよう検討している。

Q4.計画にはゆうゆう館の機能継承という文言がちりばめられているが、「地域コミュニティ施設での事業実施という側面ではどのような議論になっているのか、最重視したいことは何か。地域コミュニティ施設については現在のゆうゆう館の実態を踏まえ、事業者や利用者のいけんにも十分耳を傾けてもらいたいと思う。地域コミュニティ施設は、所管の違う機能がひとつに複合化されることから、関係各課の連携が重要だ。現在どのような体制で議論され、最終的な担当書簡のあり方はどうなるのか。

A4.地域コミュニティ施設は再編対象となるゆうゆう館の機能や、児童館の乳幼児親子の居場所機能の継承を着実に行い、地域住民の身近な活動の場として、また世代を超えた交流・つながりが生まれる場としていくことが重要だと考える。

そうした観点から、現在区では行財政改革推進本部のもとに関係各課で構成する検討部会を設置し、管理運営方法の検討や継承する機能の整理、再編対象となるゆうゆう館の貸室のあり方を検討している。

区は「ゆうゆう館協働事業者意見交換会」等において計画に関する情報提供を行い、事業者の声を聞き、例えば東原地域コミュニティ施設の整備において町会長やゆうゆう館の利用者、児童館の利用者に意見を聞いている。今後も区民や事業者の意見を反映していく。

担当所管につぃては、地域課の所管のもと関係する各課が緊密に連携し、地域コミュニティの活性化につながるよう努める。

Q5.最後に、地域コミュニティ施設が区民にとって使いやすく、豊かな関係性が紡げる場所として機能するために、どのような施設にしてきたいのか区の見解を問う。

A5.(区長答弁)近年、隣人の顔も知らない「社会的孤立」が問題となり地域のつながりが弱まる中、区民に身近な場所で気軽に集うことのできる交流の場と、機会を提供することが大切と考える。7地域の拠点施設としての地域区民センターに加え、徒歩10分程度の身近な範囲に1か所を目安に、新たに地域コミュニティ施設を再編整備していく。集会室や多目的室などの貸室、だれでも利用できるラウンジを設置し、ゆうゆう館で実施している高齢者対象事業はもとより、ゆうゆう館や児童館の機能を継承していく。

 

【備災を促進するための支援について】

Q1..昨年いくつもの自然災害に見舞われた。職員は被災地に赴き、現地の支援を通じて多くを学んできたと思う。支援内容やそこでの経験は記録としてどのように蓄積されているのか。またそれらの記録を全体共有していくことが必要と考えるが区の見解を問う。

A1..平成30年7月豪雨では岡山県総社市で清掃・防災職員が災害廃棄物などに従事したほか、倉敷市で罹災証明発行業務や避難所の運営業務に従事した。北海道胆振東部地震では、厚真町に対して、保健師が健診業務再開や保健指導の準備を行いました。総社市支援は活動記録として全庁に配布し、自治体スクラム支援会議メンバーも共有した。また今後策定する「杉並区災害廃棄物処理計画」にも生かしていく。

被災地での経験や教訓は通常業務の改善に生かせるほか、当区が被災した時のために全庁的な情報共有に努めていく。

Q2.区内に防災公園が6か所あるが防災公園の定義はなにか。一般の公園と違うところはなにか。防災公園の整備は充足しているのか、今後増やしていくのか。

A2.防災公園は地震に起因して発生する市街地火災等の二次災害時における国民の生命、財産を守り、都市の防災構造を強化するために整備される広域防災拠点、避難地、避難路としての役割をもつ都市公園および緩衝緑地と定義されている。

区では比較的規模が大きく、放水銃・ゲートシャワー、耐震性貯水槽などの防災設備を備えた公園を防災公園としている。今後は広域避難場所の設置状況やまちづくり基本方針、地域防災計画との整合を図りながら拡充の可能性を検討する。

Q3.防災設備を活用した訓練を通して感じるのは、防災機能としてあるにもかかわらず、実際に使えない、使いにくいことが多い。今後防災公園をつくるまたは改修する場合は関係部署の連携が必要と考えるが区の考えを問う。公園を点検する際も、防災課とみどり公園課、管理事業者が一緒に行うことが必要だと考えるがいかがか。

A3.例えば下高井戸大空公園では、要望を受け消防団の訓練会場として使える直線道路を整備するなどしていますが、今後もこれまで以上に区民が利用しやすい施設や設備の導入・活用について関係部署間で連携を図りながら対応していく。

Q4.区でも粉ミルクの備蓄はしていると思うが、人工乳の配布について震災救援所のマニュアルなどにしめされているのか。また乳児を持つ親への対応はどのような体制でのぞむのか。災害発生直後は水やガス、電気が使えないと哺乳瓶の消毒ができないため紙コップ授乳が推奨されている。防災セミナーや子育てメッセなどの場でも紙コップ授乳知識として伝えていくことが必要と考えるが、区の考えを問う。液体ミルクの導入については区でも検討されていると思う。しかし消費期限が6か月や1年と備蓄品としては短いため、区として備蓄することが良いのか、または各自の備蓄を呼びかける一方で乳業会社と協定を結んで備蓄在庫を抱えない方法が現実的だと思うが、区の見解を問う。発災時直後は衛生面が悪化することから授乳環境を整えることが大事である。震災救援所の訓練でも女性の着替えの場とともに授乳所を確保する訓練が必要だと思うがいかがか。

A4.震災救援所管理標準マニュアルでは粉乳などの配布は女性スタッフによる運営を求めている。また妊産婦に対しては女性スタッフによる声かけなど、救援所全体として支える体制を構築している。授乳方法の周知に関しては、哺乳瓶が使用できない場合には代替品として使い捨て紙コップやスプーン、滅菌ガーゼを使用する方法がある。東京都発行の「東京くらし防災」などにも紹介されているのでこれらの資料を活用して防災イベントや訓練などの機会に区民に周知を図っていく。液体ミルクについては常温での保存や備蓄ができるメリットがある一方、備蓄スペースの確保、保存期間の問題があるので、保管委託契約なども視野に入れて比較検討を進めていく。授乳室や女性専用更衣室は震災救援所の運営上不可欠であり、直ちに開設することになっている授乳室や更衣室を含む部屋割り訓練を行っている。

Q5.日本栄養士会が「赤ちゃん防災プロジェクト」として妊産婦・乳児への栄養支援、避難所運用についてガイドラインを策定中と聞いている。この取り組みについての区の認識と見解を問う。

A5.「赤ちゃん防災プロジェクト」は日本栄養士会災害支援チームが災害時の乳児の命を守ることを目的に発足させたもので、国の省庁も後援している活動である。本年1月に「災害時における乳幼児の栄養支援の手引き」というガイドラインが発行された。これは災害時の乳幼児の栄養確保と保護の観点から、避難所の環境整備や母乳代替食品の備蓄や提供について専門的な立場からまとめられた有益なものと考える。

Q6.平常時の取り組みとして、横浜市では乳児を抱える親や妊婦を対象に「子育てママの防災おしゃべりサロン」を開催していると聞く。当区においても子ども・子育てプラザなどで妊婦や子育て家庭向けに、災害アドヴァイザーの講話や参加者同士の話し合いの機会を作り防災に対する意識を高めることを検討してはどうか。

A6.これまでも子ども・子育てプラザなどで、災害や犯罪から子どもを守るための講座等を行ってきている。今後こうした講座を開催する際には、学んだ内容をもとに参加者同士が意見交換する機会を設け、また区が発行してるリーフレット「知っておきたい!災害の備え」の活用も図り、家庭における防災意識を高めていくように取り組む。

Q7,公助の充実に取り組んできた区として、防災白書にある自助に対する意識の高まりに対しどのような感想を持っているか、またどのように対処するのか。これまで区は自助については区民にどのように伝えてきたのか。そのことは浸透しているのか区の認識を問う。

A7.防災白書平成30年版では自助、共助、公助の防災対策について何に重点を置くのかという問いに対して、過去の災害の教訓や想定される広域的な大規模災害における公助の限界への懸念などから、自助に対する意識が高まっていると分析しており、区も同様の認識である。一方杉並区民の防災行動については、防災訓練などの参加者が近年増加傾向にあるが、直近の「区民意識調査」の「家庭内で何らかの防災対策をしている」割合は83.9%とやや減少している。自助の意識の高まりと具体的な防災行動には若干の乖離が見られる。これまで区の取り組みとしてはハザードマップを活用して地域の災害リスクを理解し、避難行動や備蓄などについて家庭で話し合いが進むよう自助の取り組みを支援してきた。加えてこの度の地震被害シミュレーション結果の公表を地震災害を自分事として捉えるきっかけとしてもらえるよう、減震ブレーカー設置支援拡大の検討や在宅避難に必要な物資のあっ旋品目の追加、日常備蓄や在宅避難生活に関するセミナー開催などの対策を進めていく。自助意識の高まりを防災・減災対策を前進させるチャンスと捉え、取り組んでいく。

Q8.自治体職員による防災出前講座が各地で実施されているが、杉並区でも「備災(自助)」をテーマに、地域で一定数の区民が集まったら職員が出前するする取り組みが有効とかんがえるが見解を問う。

A8.職員が出向いて防災出前講座を行うことは質疑を通じて理解を深めたり、直接区民の声を聞く有効な方法であり、町会、自治会、防災課やゆうゆう館で行ってきている。また、今年度からはすぎなみ地域大学の「地域防災コーディネーター養成講座」で地域防災や防災講和などに対応できる人材を計画的に育成している。こうした人材も活用して区民に自助を含む防災対策を伝える機会を増やしていく。